詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

詰工房の課題について

詰工房常連の誰かが書いてくれるかな、と思っていたが、勝手に書かせていただく。


今回の話題は、詰パラ2月号のP47、詰工房の課題についてである。
「打歩詰に関係する手筋。ただし、作意手順で攻方は歩を打たない」
2016年9月の詰工房で決まった課題。一見逆説的な内容である。
そしてこの課題、「盤上に適当に駒を並べてみたら出来ていた」ということはまず有り得ない。
強い意志を持って手順を構築する必要がある。

代表的な作例をいくつか挙げていこう。
■2015.11 My Cube 第n回裏短コン 馬屋原剛 氏作「欺きの一角獣」
20170206_1.png
13角不成、36角不成、26桂、25玉、45飛、同角、35角成 まで7手。

打歩詰に関係する手筋と言えば不成
そして、本作は「打歩に関係する双方不成」「作意では歩を打たない」を7手で実現している。
同様のことをやろうとすると、本作が比較対象となってしまう、という恐ろしい作。
詳しい解説はこちらで。
解説と短評でほぼ語り尽くされているが、1点だけ。
4手目26同香は、43飛成、25玉、23龍まで7手駒余り。
(26同香に対し36香としても詰むが、以下35歩合が無駄合か有効合かという面倒な議論が発生する)

■第10回詰将棋解答選手権チャンピオン戦(2013.3) ③ 若島正 氏作
20170206_2.png
78桂、同と、96龍、86銀、同龍、57玉、66龍、同玉、57銀、同玉、
47龍、66玉、84馬、同金、67龍、75玉、65龍 まで17手。

不利合駒も打歩に関する手筋。それを中合で行う、というだけでも珍しいのだが、打歩の筋をすべて変化に隠した構成にしているのは他に見たことがない。
同様の条件の後続作が発表されないのは、本作の完成度が高すぎるからかもしれない。

■詰パラ1952.2 栗原壽郎 氏作
20170206_3.png
11飛、92玉、21角成、96角、同香、同桂、81角、同玉、54馬、92玉、
81龍、同玉、71歩成、同玉、74龍、61玉、71龍、同玉、72銀 まで19手。

「打歩詰を回避するための、遠打+効き筋遮断の複合技」を「ブルータス手筋」と呼ぶのは今では常識だが、そのきっかけとなった作品。
初手・3手目は、4手目96歩合の変化を詰ますためだが、作意は96角合となるのが凝った展開。
当時の解説はこちらで。
なお、ブルータス手筋の1号局としては、看寿の将棋図巧49番91番あたりが有力。

■(番外)詰棋めいと創刊号(1984.6) 愛 上夫 氏作
20170206_4.png
66飛76桂69玉、77桂、同銀、97玉、89桂 まで7手。

初手にいきなり69玉は68歩と打てるため失敗。ところが、わざわざ76桂と打たせて王手を掛けさせてから69玉とすると、68歩は打歩詰となるため打てない、という仕組み。
攻方玉の打歩詰を含みにした作。一応このパターンも「作意手順で攻方は歩を打たない」ではある。
しかし、そもそも今回の課題は「打歩詰なのに歩を打つ手が出て来ない」という、一見パラドキシカルな内容を実現せよ、というのがポイントである、と考える。
攻方玉の打歩詰利用ということは、攻方が歩を打つ手が出て来ないのは当たり前であり、全然パラドキシカルではない。
したがって、今回の課題にはあまり相応しくない、というのが個人的な意見。


以上、条件を満たす作例をいくつか挙げてみた。参考になれば幸いである。
そして願わくば、これらの作例に引けを取らない出来の作を見てみたい。




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  1. 2017/02/07(火) 00:01:00|
  2. 考察
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1手詰の不成を実現可能な駒種(4)【解答編】

締切ギリギリになってからの駆け込み解答もあるかと思っていたが、PRが足りなかったか、人徳が足りなかったか。


解答を寄せていただいたのは馬屋原さん1名のみ。
しかしこれが完璧な内容だった。これを見るだけでも価値がある。

■問題1
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、飛不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 飛の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。
20161230_02.png
37飛不成まで1手詰

説明しやすいように、初手を指した局面の参考図を使うことにしよう。
20161230_01.png
条件から、
 ・後手が王手を防ぐ着手は、歩打による合駒のみ。
 ・歩を打たれたとき、先手の手が存在しない。
となっている必要があり、そのためには、先手が1手指したときに、
 1)玉方の玉に王手をかけている飛(37飛)
 2) 1)をピンしている縛り駒(26角)
 3) 2)をピンしている縛り駒(44角)
 4) 3)をピンしている縛り駒(43香)
が必要。あとは、詰方の玉が移動できないようにすれば良い。

しかし、解答はこれを上回るものだった!
20161230_03.png
23飛不成まで1手詰
実際に示されてみれば当たり前で、構図を90°回転させると7マス移動が可能だった。
これに思い至らないとは痛恨。

■問題2
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、角不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 角の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。
20161230_04.png
37角不成まで1手詰
考え方としては同様。しかし、28香・18飛の配置に気付けるかどうかがポイントか。

20161230_05.png
38角不成まで1手詰
1段下げた構図。よく似ているが、初形で28に玉方の効きが無くてもよいというのは気が付かなかった。
角は6マス移動が最大。

■問題3
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、香不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 香の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件1のみだと5マス移動。条件2を満たしつつだと1マス移動。

まずは(条件1)から。
20161230_06.png
22香不成まで1手詰
20161230_07.png
22香不成まで1手詰

問題2と同様の構図が使える。しかし移動した香を行きどころのない駒にするために、1・2段目の配置が必要。
しかし構図から成駒の置き方まで、ここまで一緒になるとは思わなかった(19の駒の置き方が違うだけ)。
こちらでも問題2と同様に、初形で28に玉方の効きは不要だ。
香は5マス移動が最大。

(追記)
馬屋原さんの解答は盤面25枚・成駒3枚。しかし、盤面23枚・成駒なしで実現できた!
20161230_12.png
82香不成まで1手詰
42角・51銀の配置がうまく、これにより行きどころのない駒を配置するのが5~9筋だけでよい。
この構図は気が付かなかった。

続いて(条件2)。
20161230_08.png
42香不成まで1手詰

20161230_09.png
42香不成まで1手詰

「盤面22枚以内」「成駒を置かない」という条件を満たそうとすると、構図に工夫が必要。こちらも相当に似ている。
この条件下では1マスが限界か。
ちなみに歩不成は、43香を歩にして香を12あたりに置けば実現可能。

馬屋原―面白そうでしたので挑戦してみました。よろしくお願いいたします。

解答ありがとうございました。1人だけでも「面白そう」と思っていただけたのであれば、記事を書いて良かったと思います。
もう少し解答が多ければ、各自の構図の違いについて比較もできたと思いますが。



今年の記事はこれが最後。
皆様良いお年を。

  1. 2016/12/30(金) 15:00:00|
  2. 考察
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1手詰の不成を実現可能な駒種(3)【出題編】

というわけで、やっと出題編。

詰将棋で1手詰の不成ができるのは「銀」「桂」のみ、という結論だった。
しかし、特別なルールを導入することで、飛角香歩の不成も実現できる。
そのルールとは「打歩ステイルメイトを禁手とする」というもの。
つまり、使用駒を双玉とし、王手を掛けたときに歩を打つしか応手が無く、その局面で攻方がステイルメイトになってしまう、
という状況を構築する。

これを踏まえて、次の局面創作問題に取り組んでみていただきたい。

■問題1
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、飛不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 飛の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。

■問題2
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、角不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 角の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。

■問題3
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、香不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 香の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件1のみだと5マス移動。条件2を満たしつつだと1マス移動。

(歩不成は香不成の配置を少し変更してすぐできるので省略)

解答はコメント欄もしくはDMで。
なお、解答締切は 12/29(木) 21:00 とさせていただきます。
なお、解答が皆無の場合は有耶無耶になります。

解答受付終了しました。解答者は何と……1名!

  1. 2016/12/18(日) 03:00:00|
  2. 考察
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1手詰の不成を実現可能な駒種(2)

裏短コン、作者予想を外しまくり。まだまだ修行が足りないってことで。
ちなみに、ほっと作も誰も当てられなかったようだ。


ということで、前回の記事の解答。

<選択肢>
飛 角 銀 桂 香 歩

■ウォーミングアップ問題1
特定の局面を作ったとき、条件1を満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。

▽正解
飛 角 銀 桂 香 歩

条件を注意して読むと、余詰の有無は考慮しなくて良いことがわかる。
「成って詰んでも良い」というわけで、作例としてこんな図を挙げておく。
(ほっと 作)
20161218_1.png
飛角銀桂香歩の不成と成に、金の着手を加えて1手詰が13種類ある、というもの。また、あまり意味がないが盤面七対子。

なお、元ネタはこれ
この記事によると、攻方玉の着手も加えた14種類も可能らしいが・・・・・・。


■ウォーミングアップ問題2
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。
(条件2) 攻方の他の着手(ある駒を成る着手も含む)では、手数を掛けても詰まない。

▽正解
銀 桂 香

成って詰んではいけない、ということで、飛角歩は自動的に除外される。
さらに、条件を注意して読むと、「駒が余っても良い」ということがわかる。
どう違うのか、というと、実は香不成も可能になる。
20161218_2.png

問題1と問題2に関しては、「条件を満たす1手詰の詰将棋を作れ」と考えてしまうと正解できない、やや意地悪な問題だった。


■ウォーミングアップ問題3
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでおり、このとき攻方に持駒が残っていない。
(条件2) 攻方の他の着手では、手数を掛けても詰まない。

▽正解
銀 桂

これは「条件を満たす1手詰の詰将棋を作れ」と考えて良い。
問題2から香を除外した2種類が正解。

桂に関して、条件を満たす図を挙げておく。
20161218_3.png
「成ると王手にならない図」では当たり前すぎる?
しょうがないなあ、「成っても王手だが不成でないと詰まない図」も挙げておこうか。
20161218_4.png

20161218_5.png

銀についても同様に作成できるため、省略する。
というわけで、詰将棋として最終手に不成限定が成立するのは、銀・桂のみということになる。

さて、ここまでを踏まえて、本題はこの後なのである。
(次の記事に続く)
  1. 2016/12/18(日) 02:00:00|
  2. 考察
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1手詰の不成を実現可能な駒種(1)

2ヶ月放ったらかしにしていたブログをようやく更新。
やるべきことが残っているというのに。


1手詰創作問題の第2弾を出題しようと思うが、その前にウォーミングアップ問題。
なお、前提条件として、ルールは普通詰将棋のものに準ずるものとし、使用駒は「単玉の場合39枚以内」もしくは「双玉の場合40枚以内」のどちらかを選択できるものとする。

<選択肢>
飛 角 銀 桂 香 歩

■ウォーミングアップ問題1
特定の局面を作ったとき、条件1を満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。

■ウォーミングアップ問題2
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。
(条件2) 攻方の他の着手(ある駒を成る着手も含む)では、手数を掛けても詰まない。

■ウォーミングアップ問題3
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでおり、このとき攻方に持駒が残っていない。
(条件2) 攻方の他の着手では、手数を掛けても詰まない。

これらは出題ではないので、コメント欄への回答などは不要だが、各自考えてみていただきたい。
正解は、某裏短コン結果発表のニコ生が終わった頃に出す予定。
  1. 2016/12/17(土) 20:00:00|
  2. 考察
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9手がベストな9手詰作品

某ブログで「9手短コン傾向と対策」の記事が書かれるかな……と期待していたが、仕方が無い、自分で書くことにしよう。


今年の短コンは9手詰である。
個人的には「9手での表現があるべき姿である9手詰」が出題されてほしい。

■望ましくない例
「9手詰の在庫が無いので、11手で作ってあった作の頭2手を削って投稿します」
「9手詰の在庫が無いので、7手で作ってあった作に、駒数は増えるけど無理矢理2手付け加えて投稿します」
そんなコメントをときどき見かけるが、こういうのは絶対にやめてほしい。
何より、あるべき姿でない形で世に出されてしまう作品が不憫でならない。

それでは、「9手がベストな9手詰」とはどんな作だろうか。

■パターン① 8手一組 + 1手
(1)深和敬斗 氏作 詰パラ2011.12 (2012.4改作)
20161016_ptrn1-1.png
17金、同桂成、27銀、同成桂、26金、同成桂、25銀、同成桂、17金 まで9手。
☆初形の25桂が8手後に成桂に変わる。美しい仕上がり。

(2)宮原航 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn1-2.png
38桂、同馬、27銀、同馬、38桂、同馬、29香、同馬、16龍 まで9手。
☆8手掛けて16銀が消えている。こちらも綺麗。作者は香の使い方に印象的な作が多い。

■パターン② (4手一組)×2 + 1手
(1)堀内真 作 詰パラ1998.1
20161016_ptrn2-1.png
64銀、54玉、53銀成、同玉、54銀、44玉、53銀成、同玉、35馬 まで9手。
☆「邪魔駒の間接消去」×2。地味な手順だが、渋さが受けたようで割と好評だった。

(2)冬眠蛙 氏作 「冬眠蛙の冬眠日記」2010.11
20161016_ptrn2-2.png
67角、65玉、76角、同玉、43角、66玉、76角成、同玉、67龍 まで9手。
☆「邪魔駒の間接消去」×2なのは(1)と同じだが、角打~角捨てのため、とても派手な印象。
 見せ方を熟知した作者ならでは。

■パターン③ (2手一組)×4 + 1手
(1)北岡正一 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn3-1.png
57香、同龍、55香、同飛、54香、同飛、53香、同飛、15角 まで9手。
☆不動玉で香4連捨て! 実に巧妙にできている。4枚目も玉から離れているのは希少価値が高いはず。

(2)三輪勝昭 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn3-2.png
69角、同と、59桂、同と、58銀、同と、48香、同と、57金 まで9手。
☆4連続の打ち捨て、応手はすべて「同と」である。捨駒が打ち捨てのみの場合は得てして一本調子になりがちなのだが、本作は1手ごとに異なった変化が伴うため、単調な感じはしない。
2013年度の9手短コンの優勝作。

■パターン④ 9手一組
(1)小湊奈美子 氏作 詰パラ1990.10
20161016_ptrn4-1.png
38金、同玉、37金、同玉、47と、同玉、37金、同玉、38金 まで9手。
☆手順が回文になっているという趣向。5手よりも長い手数を手掛けているのはこの作者だけ?

ここまでいずれも、「削るのも付け足すのも有り得ない」という作ばかりである。

■パターン⑤ その他
パターン①~④のどれにも当てはまらない作。実際の発表作では、これが大多数を占めているだろう。
そして「あ、これもっと手数伸ばせそう」とか「あ、これ頭2手削るべきだろ」と思えてしまう作も、結構な割合で見受けられる。

それでも、「削るのも付け足すのも有り得ない」という作はもちろん多数ある。
適当に選んだ作品を紹介しよう。

(1)水上仁 氏作 詰パラ1991.1
20161016_ptrn5-1.png
36飛、同香、34角、46玉、47飛、同玉、48金、46玉、68角 まで9手。
☆無駄の無い初形から、取られる地点に打つ初手、成れない地点から打つ3手目、そして大駒の足の長さを利用した変化処理。
1991年度看寿賞(奨励賞)。

(2)原亜津夫 氏作 詰パラ2002.9
20161016_ptrn5-2.png
94角、85金、58金、77玉、76馬、同金、86飛成、同金、67金 まで9手。
☆完璧な構成。2002年度看寿賞(短編部門)。

(3)赤羽守 氏作 詰パラ1984.10
20161016_ptrn5-3.png
85角、76桂、58銀、同玉、95角、57玉、68龍、同桂成、84角 まで9手。
☆鮮やかな手順は30年以上経った今でもまったく古さを感じさせない。

紹介したい作は他にも多数あるが、キリがなくなってしまいそうなのでこの辺で。

■結論…のようなもの
単なる紹介記事になってしまったが、最終的には作者自身が納得しているかどうかだと思う。
作家諸氏は、まずは投稿前に「果たして9手での表現がベストだろうか」と自問してみていただきたい。
これに対し、自信を持って「YES」と答えられるかどうか。そうでない場合は、投稿するべきではない。

『もう投稿を済ませてしまったぞ、もっと早く記事を出せ』 と多数からツッコミが入りそうだが。

  1. 2016/10/16(日) 19:00:00|
  2. 考察
  3. | コメント:0

限定打に関する作図問題【解答編】

限定打に関する作図問題の結果発表です。


<解答者>
三輪勝昭、divD、奥鳥羽生、香歩花、tsumegaeru、不透明人間 の各氏。

【問題①】
図1の盤面に、適当に駒を追加し、「93角まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_01.png

★方針としては、「48角」の形では詰まないが、「48馬」の形だと詰む、というような配置を考える、ということになるだろうか。そして、それは次のどちらかとなる。
(a)44~47のどこかに飛を置く。
(b)58~98のどこかに飛を置く。
あとは余詰の発生に注意しつつ、余計な逃げ道を消し、最小駒数で表現することを考えればよい。
20160612_1_b1.png

★ちなみに、こんな図もある。
小林敏樹 『詰めてみよう 作ってみよう 2』第2問
20160612_1_b2.png
★初心者向けに、あえて紛れを排除したつくりになっている。

<上級者向け課題>
図1で、角を王手で打てる場所は8箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、93角以外の7箇所からも王手で角を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。

★<上級者向け>と後で付け加えたが、ほとんどの解答が、この条件を追加する前から元々の図の時点で満たしていた。
★というわけで、各氏の解答を見てみよう。

■三輪勝昭さんの解答
20160612_1_z1.png
三輪勝昭さん『駒効率ならこれかな。双玉なしなら18飛、29馬で。』

■香歩花さんの解答
20160612_1_z2.png

■divDさんの解答
20160612_1_z3.png

■奥鳥羽生さんの解答
20160612_1_z5.png
奥鳥羽生さん『詰方=4(4~7)飛、18飛、玉方=29角(馬)。
(左右入れ替えた場合は)詰方=2(4~7)飛、(5~9)8飛、玉方=49角。』
★たくさん答えても加点は特にありません(笑)。

■tsumegaeruさんの解答
20160612_1_z4.png

■不透明人間さんの解答
20160612_1_z6.png
★最初、小林敏樹氏作と紹介してしまってすみません。

★案外かぶらないものである。


【問題②】
図2の盤面に、適当に駒を追加し、「33飛まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_02.png

★方針としては問題①と同様、「38飛」の形では詰まないが、「38龍」の形だと詰む、というような配置を考える、ということになる。そして、それは次のどちらかとなる。
(a)16~27のどこかに角を置く。
(b)47~74のどこかに角を置く。
あとは余詰の発生に注意しつつ、余計な逃げ道を消し、最小駒数で表現することを考えればよい。
また、問題①と違い、31飛や32飛では詰まないようにしておく必要があるが、ここで少しだけ配置の工夫の余地がある。
ポイントとしては、ある1枚の守備駒を「32&29に効かせる」または「32&49に効かせる」ことで、これにより、効率良く余詰を防ぐことができる。

★というわけで、解答例はこちら。
20160612_2_b1.png
玉方76角の代わりに玉方42飛でも良い。

<上級者向け課題>
図2で、飛を王手で打てる場所は16箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、33飛以外の15箇所からも王手で飛を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。

★これは、前述の解答例の59金を46飛にすれば良い……が、実はこれと同一図の解答が2名からあり。
■香歩花さん、奥鳥羽生さんの解答
20160612_2_b2.png
奥鳥羽生さん『詰方=4(1・2・4・5・6)飛・(41龍)、74・56角、玉方=76角(馬)、28歩(香)。』
★組合せによっては余詰がありそうな……大丈夫なんでしょうか。

■divDさんの解答
20160612_2_z1.png

■tsumegaeruさんの解答
20160612_2_z2.png
tsumegaeruさん『問題②が難しかったです。』

■三輪勝昭さんの解答
20160612_2_z5.png
★47馬&65角の配置はなるほどと思った。
★上級者向け課題を同時に満たそうとすると、それなりに考慮が必要だったか。


【問題③】
問題②では、31飛および32飛の余詰を防ぐための駒が必要である。これを「以遠打防止駒」と呼ぶことにする。
図3の盤面に、適当に駒(後手玉を含む)を追加し、○○飛まで1手詰となる図を作れ。余詰は不可。
さらに、次の条件を満たすものとする。
(1)玉位置は自由。
(2)玉位置と飛打の升目はできる限り離れていること。
(3)以遠打防止駒を置いてはならない。たとえその駒が別の余詰消しを兼ねていても駄目。※条件(3)についてはあまり気にしなくて良いです。
(4)移動合ができる場合は詰みとは見なさない。【条件追加しました】
20160605_03.png

★実はこれがかなり難問だった。特に条件(2)が何マスまで可能かを推測するのが非常に困難。

■パターン1:合駒制限を用いない場合
2010.4.3. 第7回詰将棋解答選手権 初級戦① 谷口均 氏作
20160612_3_a1.png
<作意>13飛まで1手詰。
★1手詰において玉から飛をどれだけ離して打つことが可能か、については、2010年解答選手権の年鑑本の中で谷口氏自身により分析されている。その中で「合駒制限の全駒使用、玉の後方の成れる所から打つ、双玉、のいずれも不可」という条件では、2間が最大らしいという結論になっている。
★また、谷口作は盤面6枚だが、実は同様の手順が盤面5枚で実現可能である。もっともこれについては今回の趣旨とはあまり関係ないので触れないでおく。

■パターン2: 条件(4)なしの場合
★盤上に合駒制限の駒を置いた場合、こんな表現も可能である。
20160612_3_a2.png
<作意>19飛まで1手詰。
★条件(4)「移動合ができる場合は詰みとは見なさない。」を入れていなかったときにdivDさんから送られてきた解答。
 最下段で実施しているのが工夫で、合駒制限の駒配置を最小限で済ましている。
 移動合を無駄合と見なした場合は、最大の7間離した限定打が可能である。しかしこれでは当たり前過ぎて面白味がない。
 
■パターン3: 条件(4)ありの場合
★条件(4)を考慮した場合はどうなるか?
★まず、5間離した解答を挙げさせていただく。
■奥鳥羽生さんの解答
20160612_3_b1.png
<作意>28飛まで1手詰。
★王手が掛かっているので28に打つしか無く、合駒ができないためこれで詰み。

■divDさんの解答
20160612_3_b2.png
<作意>88飛まで1手詰。
★王手が掛かっているので88に打つしか無い。8段目なので桂合はできず、38~58へ歩合をするといずれも同龍で詰み。変化処理に工夫がある。

■三輪勝昭さんの解答
20160612_3_b3.png
<作意>29飛まで1手詰。
★初手28飛では24角合とされて逃れる。初手29飛として、19玉と99飛の間に2枚挟むことにより、24角合には同馬で詰み。
 連続合ができると逃れなのだが、玉方が合駒に使える駒は角1枚しか無いので29飛の時点で詰みとなる。

★しかし、実は6間離すことが可能だった!
20160612_3_s1.png
<作意>98飛まで1手詰。
★divDさんと三輪さんの構図を組み合わせた配置になっているが、このようにすることで、28玉に対して98飛と打つ手を作意に設定できる。38歩合なら同角成で詰み。
★なお、問題②の上級者向け課題と同様に、飛を打つ王手が16箇所から可能なようにしてみたが、あまり意味は無かったか。

★正解者ゼロを危惧していたが、この機構に辿り着けた解答者が2名。

■香歩花さんの解答(花駒の「飛金4銀4桂3香3歩12」は省略)
20160612_3_s2.png
<作意>98飛まで1手詰。

■tsumegaeruさんの解答(花駒の「飛金4銀4桂香4歩17」は省略)
20160612_3_s3.png
<作意>86飛まで1手詰。

★どちらも「攻方玉とそれを間接的に睨んでいる後手の駒の間に2枚目を挟む」という意味付けにより、6間離した限定打を実現している。
tsumegaeruさん『問題③は流石にこれ以上離すのは不可能だと思っているのですが……。』

★こちらで把握している限りでは、6間が最大かと思われる。



★という訳で、あまり解説になっていないような気もしますが以上です。
 解答をいただいた皆様、考えていただいた皆様、ありがとうございました!
 次回出題時は、もう少し問題を推敲してから出題します。
  1. 2016/06/12(日) 03:30:00|
  2. 考察
  3. | コメント:5

限定打に関する作図問題

油断していたら更新が1ヶ月空いてしまった。気を付けねば。
※太字部分追記しました。


限定打および限定移動の考察記事を書こうとしていたが、すでに優れた記事が存在したので構成を練り直し中。
とりあえず今回は、限定打に関する作図問題を。
【問題①】
図1の盤面に、適当に駒を追加し、「93角まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_01.png
<上級者向け課題>
図1で、角を王手で打てる場所は8箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、93角以外の7箇所からも王手で角を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。


【問題②】
図2の盤面に、適当に駒を追加し、「33飛まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_02.png
<上級者向け課題>
図2で、飛を王手で打てる場所は16箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、33飛以外の15箇所からも王手で飛を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。


【問題③】
問題②では、31飛および32飛の余詰を防ぐための駒が必要である。これを「以遠打防止駒」と呼ぶことにする。
図3の盤面に、適当に駒(後手玉を含む)を追加し、○○飛まで1手詰となる図を作れ。余詰は不可。
さらに、次の条件を満たすものとする。
(1)玉位置は自由。
(2)玉位置と飛打の升目はできる限り離れていること。
(3)以遠打防止駒を置いてはならない。たとえその駒が別の余詰消しを兼ねていても駄目。※条件(3)についてはあまり気にしなくて良いです。
(4)移動合ができる場合は詰みとは見なさない。【条件追加しました】
20160605_03.png

解答募集するほどのものでもありませんが、一応ツイート(DM)またはコメント欄(承認制にしています)にて受け付けます。
1週間後くらいに結果発表。

現時点で解答は3名。問題③で満点となる解答はまだ0です。
いずれの解答も、条件(2)が、こちらで用意している模範解答の距離に達していません。

解答締切は、
6/11(土)22:00
とさせていただきます。

締め切りました。
解答者は少し増えて5名。問題③の正解者
は2名!


ちなみに①の模範解答は3枚追加、②の模範解答は4枚追加。上級者向け課題も、この枚数のままで実現可能。
③についてはいろいろと話題になっている? ←これは双玉も合駒制限も用いない場合の作例。では、何でもありとした場合はどうなるか? 案外難しいかも。
  1. 2016/06/05(日) 02:30:00|
  2. 考察
  3. | コメント:8

握り詰に関する考察

予定していたことが全く進まないので、気分転換にブログを更新。決して現実逃避しているわけではありません。


2016年度のアマ連杯握り詰の使用駒が発表された。
 玉角金金金銀桂香歩歩歩
既に創作に取り掛かっている作家もいらっしゃることだろう。
せっかくなので今回は、理想的な握り詰について考察してみたい。

自分が考える「理想の握り詰」の条件は、「使用駒に必然性があること」である。
具体的には、次のような作品である。

 握り詰という条件を無くし、駒を自由に足したり減らしたり入れ替えたりしても良いものとする。
 その場合でも「駒を足すのも減らすのも入れ替えるのも有り得ない。指定された使用駒で見事に完結している」という作品。

手を加えることにより内容がもっと良くなるのであれば、わざわざ指定された使用駒で発表する意味は無いと考える。

これを頭に入れておくと、例えば次のような作品はどうか。

 (よくある創作方法)
 適当な詰上りから逆算して、使用駒をうまいこと使い切りました。捨駒主体の軽快な手順に仕上がっています。

握り詰を作ろうとする場合に、最も作りやすい創作方法ではある。だが、駒を変更すれば高確率でもっと良くなるだろう。
理由は、捨駒主体という点。
使用駒を足せばもっと逆算できるだろうし、使用駒を変更して大駒を捨てる手順にすることも可能かもしれない。
たとえ「適当な詰上り」の部分が炙り出しやミニ煙であっても、同様の指摘ができる。

では、理想の握り詰の条件を満たす作品は存在しないのか? 
否、である。
2013年度(使用駒:玉角金銀銀銀桂香歩歩歩歩)
3位
20160503_01.png

2015年度(使用駒:玉飛角金金金銀桂桂香香歩歩歩歩)
3位
20160503_02.png

上記2作とも、ここから手を加えようとする人は居ないであろうが、使用駒を変更することによって明らかに良くなるのであればご指摘を。

というわけで、初形曲詰にする、というのが1つの答である。
しかし、評価する側にとって一番重要なのは作意手順が充実しているかどうかであり、使用駒の必然性についてはあまり重要視されていないようだ。事実、上記2作とも3位入賞に留まっている。
また、2013年度・2015年度とも、他にも初形曲詰のエントリー作品はあったはずだが、手順が一番充実している1作のみが入賞しており、その他の作品は入賞していない。
すなわち、初形曲詰で参加する場合、他のエントリー作品にもっと良い初形曲詰があると入賞が難しくなるので、その点は覚悟しておこう。
ともかく、一流作家であれば、例年にも増して凄い作品を見せてくれることであろう。ちなみに私は一流作家ではない。

いずれにしても、手順を充実させ、なおかつ使用駒に必然性を持たせるのは非常に困難であり、それを満たすのは今まで発表された作品の中でも一握りである。握り詰だけに。
  1. 2016/05/03(火) 13:30:00|
  2. 考察
  3. | コメント:3

打診手に関する考察(2)

前の記事から二週間空いてしまいました。
週一で更新とか書いてたのはどうした? ……考えていたネタがうまくまとまりませんでした。詰将棋でもそうですが、納得できる状態にならないと投稿できない性格なもので。


本記事は、2016/1/3の記事「打診手に関する考察」の続きである。狭義の打診手について、いくつか見つけた作を紹介させていただく。
ちなみに前回の記事を未読の方は、まずそちらを読んでおいていただきたい。

要点だけ書くと、下記のような構造を持った作品、ということになる。
逃れのパターン
打診を経由しない場合に2通り(これをXとYとする)の攻め方があり、玉方のある駒pに対して、
X →p成  …逃れ。
Y →p不成 …逃れ。
詰みのパターン
打診Zを行った場合、
Z ―→ p成  → Y …詰み。
 └→ p不成 → X …詰み。
で詰み。

①富沢岳史 氏作 (詰パラ1989.6)
20160131_01.png
13桂成、15玉、

20160131_01_t1.png
ここで、14成桂?とすると、同玉、25金、13玉、22銀引不成、12玉、となり下図。
20160131_01_f1.png
さて、ここから攻め方は2通り。
X=21銀不成、11玉、12歩、21玉、31歩成、12玉、13歩、同玉、23歩成→同角成!…逃れ。
Y=23歩成→同角不成!…逃れ。
それぞれの攻め方に対して、角の成と不成を選択されて逃れる。
ならば、こちらが攻め方を選択するより前に、成か不成か、態度をどちらかに確定させよう。
戻って、作意は途中図1から45飛!(途中図2)とする。
20160131_01_t2.png
これに対して、同角成ならば、Yの方の手順で攻める。14成桂、同玉、25金、13玉、22銀引不成、12玉、23歩成、同馬、13歩、同馬、同銀成、同玉、31角以下。

作意は同角不成の方で、Xの方の手順で攻める。
(途中図2から)同角不成、14成桂、同玉、25金、13玉、22銀引不成、12玉、21銀不成、11玉、12歩、21玉、31歩成、12玉、13歩、同玉、23歩成、同角、24銀成、22玉、23成銀、同玉、32銀不成、13玉、35角、22玉、23歩、12玉、21銀不成、(イ)11玉、22歩成、同玉、32と、11玉、44角、同香、23桂まで39手。

ちなみに、(イ)23玉でも同手数駒余らず。しかし、この後、
  (a)24金、22玉、32と、11玉、44角以下
  (b)24金、22玉、32銀成、12玉、13金以下
の2通りの詰め方があるため、(イ)11玉と逃げる方を本手順にしておく。

本作の主張は、何と言っても3手目の打診手を大駒捨てで実施している点。また、手の流れ上、3手目は14成桂と行きたくなるため、即座に打診手を見破るのは難しいだろう。
弱点は、後半のまとめが長いのと、45飛以外に派手な手が出て来ないところ。あえて地味な手順にすることにより、主眼手を明確にする演出とも言えるが、あまり現代的ではないか。

では、現代的に作るとどうなるか。

②久保紀貴 氏作 (詰パラ2014.9)
20160131_02.png
23銀、同玉、(途中図1)
20160131_02_t1.png
ここで、
X=14角、13玉、32角不成→15角成!…逃れ。
Y=14角、13玉、32角成→15角不成!…逃れ。
それぞれの攻め方に対して、角の成と不成を選択されて逃れる。余談ながら、ここで「攻方が不成だと玉方は成、攻方が成だと玉方は不成」となっているのが本作の狙いでもある。
ならば、こちらが攻め方を選択するより前に、成か不成か、態度をどちらかに確定させよう。
26飛!(途中図2)
20160131_02_t2.png
同角成ならば、Yの方の手順で攻める。14角、13玉、32角成、15馬、14歩、同馬、22馬まで。

作意は同角不成の方で、Xの方の手順で攻める。
(途中図2から)同角不成、14角、13玉、32角不成、15角、14歩、22玉、23歩、33玉、43角成、同銀、22飛成まで15手。

打診手を飛捨てで実施しているのは前作と同様だが、成と不成の攻防が面白く、不成を選択した角を捨てて短くまとめた収束も好印象。
作者のブログでも解説されていた

③坂田慎吾 氏作 (詰パラ2015.8)
20160131_03.png
初手から、
X=42馬→同飛成!、43角成、同龍、34歩、同龍…逃れ。
Y=43角成→同飛不成!、42馬、同飛、34歩、32玉…逃れ。
それぞれの攻め方に対して、飛の成と不成を選択されて逃れる。
ならば、こちらが攻め方を選択するより前に、成か不成か、態度をどちらかに確定させよう。
45桂!(途中図)
20160131_03_t1.png
同飛成ならば、Yの方の手順で攻める。43角成、同龍、34歩、同龍、42馬まで。

作意は同飛不成の方で、Xの方の手順で攻める。
(途中図から)同飛不成、42馬、同飛、43角成、同飛、34歩、32玉、31と左まで9手。
打診手の直後に大駒を2枚捨てて、最短のまとめ。評価はそれほど高くなかったが、実にうまく出来ている。絶対に埋もれさせてはいけない作。



玉方の打診中合は多くの作例があるのに対し、攻方の「狭義の打診手」はあまりにも作例が少ない(私の調査が不十分なだけかもしれないが)。逆に言うと、未開拓の魅力的な新手筋がたくさん残されている分野であり、次回創棋会の課題作としても狙い目である(笑)。
……と書いて終わりにしようと思ったら、詰パラ2月号を見て絶句。
谷口 均 氏作(詰パラ2016.2 読者サロン)
20160131_04.png
サロンはサロンでも読者サロン、というのは置いておくとして、テーマが「玉方駒に対する打診」と書いてある。
本作、強制成らせではあるが、打診と呼ぶのは適切ではない。理由は、「37飛が不成で逃れる紛れは存在するが、37飛が成って逃れる紛れが存在しないため」。
一流作家がこういう使い方をしてしまうと、初心者は「あ、こういうのも打診と呼ぶんだ」と思ってしまう。担当者もそのように解説してしまう可能性が高い。気をつけたいところだ。
それはともかく、初手の限定打が面白い。意味付け自体は良く見かけるが、36歩合の変化のときだけ57角と打つと歩以外の駒が入手できるのがあまり見たことの無い筋だった。
  1. 2016/01/31(日) 00:01:00|
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