詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

かえるのうたが 改良図

『ある作品について、その作者が語れば語るほど、作品の価値は落ちる』と言ったのは誰だったか。
しかし、今回ばかりは書かないわけにはいかない。


かえるのうたが で、改めて配置について調べていたところ、明らかに発表図よりも良い図が得られてしまった。
(原図は前記事を参照)

「かえるのうたが b)44桂→56金 c)53銀→56金 d)77龍→56金」 改良図

20160919_1_a).png

56香、同桂、44銀、同銀、73角、同龍、67桂迄7手。
20160919_2_b).png
44銀、同銀、73角、同龍、67桂、同金、56香迄7手。
20160919_3_c).png
73角、同龍、67桂、同金、56香、同桂、44銀迄7手。
20160919_4_d).png
67桂、同金、56香、同桂、44銀、同銀、73角迄7手。


作意および命名が不変なのがせめてもの救いか。

なお、改良図の4つの図のいずれも不要駒は一切無い。
配置については、原図では配置に重複感があったが、改良図ではほぼ解消されている。そして原図で今一つ働きが悪かった93角も、改良図では1枚で複数の筋の余詰防止に役立っており、それほど気にならないだろう。
紛れについても、原図では紛れがほとんど無かったのに対し、改良図では53龍と取ったり香を離して打つ紛れ、b)で56銀と取ったりする紛れが結構手が続くため、多少は考えどころが増えていると思う。

最初からこちらで発表できていれば……と思うと残念でならない。
それにしても、ちえのわ雑文集で偉そうに語っているのが間抜けである。

ともかく、中途半端な状態で発表してしまったことをお詫びします。申し訳ありませんでした。

■おまけ
別展開作品。 d) を2回繰り返すというものだが、どうにも今一なのでここで出すことに。
20160919_5.png
15手。御笑覧ください。
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  1. 2016/09/19(月) 22:00:00|
  2. 発表作
  3. | コメント:2

かえるのうたが 命名について

詰将棋パラダイス2016年5月号 小25

「かえるのうたが b)44桂→56金 c)53銀→56金 d)77龍→56金」

20160821_1_a).png

56香、同桂、44銀、同銀、73角、同龍、67桂迄7手。
20160821_2_b).png
44銀、同銀、73角、同龍、67桂、同金、56香迄7手。
20160821_3_c).png
73角、同龍、67桂、同金、56香、同桂、44銀迄7手。
20160821_4_d).png
67桂、同金、56香、同桂、44銀、同銀、73角迄7手。

史上初の7手詰の四つ子作品。狙いは4つの図と手順を並べてみれば一目瞭然だが、一応書いておくと、
A=56香、A'=56同桂
B=44銀、B'=44同銀
C=73角、C'=73同龍
D=67桂、D'=67同金
としたとき、
a) AA' BB' CC' D まで。(ABCの順に捨ててDで詰める)
b) BB' CC' DD' A まで。(BCDの順に捨ててAで詰める)
c) CC' DD' AA' B まで。(CDAの順に捨ててBで詰める)
d) DD' AA' BB' C まで。(DABの順に捨ててCで詰める)
となっており、4つの図を合わせて輪唱を表現している。

評点が低いのは、a) のみでABC評価をした解答者が多かったため。
中には、a)~d)をすべて解いているのに評価はa)のみで付けた、という方も。
選題の言葉で「a)の解答で採点」とあったのは、解答審査(正解・誤解・無解の判定)のことだったのだが、
「ABC評価をa)のみで実施せよ」という意味に解釈されてしまったとすれば残念である。
ちなみに、a)~d)すべてまとめて1つの作品であり、28手すべての手順が作意である(これは本作に限らず、すべてのツイン作品に共通した考え方)。

手順は特に解説することは無いので、命名について書く。
本作の命名は、前半部分「かえるのうたが」と、後半部分「b)44桂→56金 c)53銀→56金 d)77龍→56金」から成る。

■命名について(後半部分)
後半部分は、チェスプロブレムにおける“stipulation”(出題図の条件)にあたるものである。
(従来の命名)+(stipulation)を合わせて1つの命名としたのは、本作が史上初である。
これは、後々引用しやすいようにしたためであるが、ツインについての理解が得られていない現状ではあまり意味が無いか。

ちなみに、stipulationのみを命名にした前例が存在するので紹介させていただく。
◇山田康平氏作 詰パラ1997.12 短コン 「b)44桂→33」

ツインとしての完成度はかなり高い。しかしこれを短コンに出すとは今考えても前衛的過ぎる。なお、出題時に「本作はツインであり、b)も解いたうえで、a)b)を合わせて1作として評価せよ」などという注釈は一切書かれていなかった。

■命名について(前半部分)
前半部分「かえるのうたが」についても説明する。
これは言うまでもなく、童謡『かえるの合唱』の歌詞の一部であるが、「五線譜に書かれた歌詞の一部」という位置づけ。したがって、すべて平仮名にしている。
そして、ここに込められた意味は以下のとおり。
【1】 4グループによる輪唱を表している。
【2】 あえて「・・・・が」という、本来であれば後ろに言葉を続けるべき箇所で切ることにより、解き手が無意識のうちに続きを補完してしまうという効果を狙っている。さらに、「図面についても出題図だけではなく、b)c)d)を補完する必要がある」ということを暗に意味している。

ここで、【1】について、もう少し詳しく説明しよう。
『かえるの合唱』の五線譜を、2小節ずつ区切ったものを、前から順にA、B、C、Dとする。下記参照。
A=56香20160821_A1.png
B=44銀20160821_B1.png
C=73角20160821_C1.png
D=67桂20160821_D1.png

そして、4つのグループ a)~d)が、次のようにして輪唱することを想定する。
(1)各グループは、A~Dまでを2回繰り返して歌うものとする。
(2)最初にグループd) が歌い始める。
(3)2小節遅れてグループc) が歌い始める。
(4)さらに2小節遅れてグループb) が歌い始める。
(5)さらに2小節遅れてグループa) が歌い始める。

これを時系列で表すと、下表のようになる。
グループ 1 2 3 4 5 6 7 8 91011
a)ABCDABCD
b)ABCDABCD
c)ABCDABCD
d)ABCDABCD

この表において、色を付けた部分を表現しているのである。

解答時にここまで汲み取れた方はまずいないだろうが、「輪唱」というところがそれなりに伝わっているようなので良しとしよう。
  1. 2016/08/22(月) 00:30:00|
  2. 発表作
  3. | コメント:0

「かえるのうたが (以下略)」について

GW中は果し合い三昧の予定。
いや、某原稿も書かないといけないのだが。

小25がほとんど話題になっていなくて寂しいので、少しだけ補足させていただく。

■作品について
命名を伏せて出題図を解いた場合、作者の意図はまったく分からないと思われる。
まずは、以下のことを頭に入れておいていただきたい。
 ・本作には命名が付いており、それは選題の言葉に書かれているとおり。ちなみに選題の言葉で「小20」は「小25」の誤り。
 ・本作は「クアドラプレット(四つ子)」作品であり、出題図はそのうちの a) の図を示す。
 ・b) c) d) は、それぞれ命名に書かれているとおりに a) を変更して得られる図である。

一応 b) c) d) の図を載せておく。a) については詰パラ5月号参照。
20160501_1_b).png
20160501_2_c).png
20160501_3_d).png

玉方の持駒は、a) b) c) d) とも「残り全部」である。実際にはその中身は図面ごとに異なるが、解図に影響はない。
ここまで把握できたら、b) c) d) を解かなくてもどんな内容かはだいたい想像がつくだろう。

■解答審査について
解答の正解・誤無解の判定は、a) の解答のみで実施される。
これは、七條賞の対象作品数が1月号の時点で決められており、途中から対象作品を増やしたりするわけにはいかないため。選題の言葉を読まない解答者もいるだろうし。
したがって、解答の際に b) c) d) の手順を書く必要はない。しかし、28手分の手順を書けば、それがそのまま作者の意図を理解したことの証明になるので、余白があれば是非書いてみてほしい。
なお、b) c) d) の手順が合っていても、a) を間違えていると誤解扱いになってしまうのでくれぐれもご注意を。

■命名について
命名は本来、作品のすぐ隣に書かれているべきである。しかし詰パラでは、レイアウト上1行に収まる文字数でないと駄目のようだ。
長過ぎる命名を付けた理由は、従来の最長命名文字数の記録更新を狙ったもの……ではなく、ちゃんとした理由がある。
理由については、またいずれ書きたいと思う。

それにしても、本作は裏短コンに出したかった。裏短コンのコンセプトにぴったりだったのだが、盤面枚数の条件を満たしていないために泣く泣く欠場……。
  1. 2016/05/01(日) 20:00:00|
  2. 発表作
  3. | コメント:3

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詰将棋作家を名乗るには発表作が少なすぎ。
評論家を名乗るには実績が無さすぎ。

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