詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

9手がベストな9手詰作品

某ブログで「9手短コン傾向と対策」の記事が書かれるかな……と期待していたが、仕方が無い、自分で書くことにしよう。


今年の短コンは9手詰である。
個人的には「9手での表現があるべき姿である9手詰」が出題されてほしい。

■望ましくない例
「9手詰の在庫が無いので、11手で作ってあった作の頭2手を削って投稿します」
「9手詰の在庫が無いので、7手で作ってあった作に、駒数は増えるけど無理矢理2手付け加えて投稿します」
そんなコメントをときどき見かけるが、こういうのは絶対にやめてほしい。
何より、あるべき姿でない形で世に出されてしまう作品が不憫でならない。

それでは、「9手がベストな9手詰」とはどんな作だろうか。

■パターン① 8手一組 + 1手
(1)深和敬斗 氏作 詰パラ2011.12 (2012.4改作)
20161016_ptrn1-1.png
17金、同桂成、27銀、同成桂、26金、同成桂、25銀、同成桂、17金 まで9手。
☆初形の25桂が8手後に成桂に変わる。美しい仕上がり。

(2)宮原航 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn1-2.png
38桂、同馬、27銀、同馬、38桂、同馬、29香、同馬、16龍 まで9手。
☆8手掛けて16銀が消えている。こちらも綺麗。作者は香の使い方に印象的な作が多い。

■パターン② (4手一組)×2 + 1手
(1)堀内真 作 詰パラ1998.1
20161016_ptrn2-1.png
64銀、54玉、53銀成、同玉、54銀、44玉、53銀成、同玉、35馬 まで9手。
☆「邪魔駒の間接消去」×2。地味な手順だが、渋さが受けたようで割と好評だった。

(2)冬眠蛙 氏作 「冬眠蛙の冬眠日記」2010.11
20161016_ptrn2-2.png
67角、65玉、76角、同玉、43角、66玉、76角成、同玉、67龍 まで9手。
☆「邪魔駒の間接消去」×2なのは(1)と同じだが、角打~角捨てのため、とても派手な印象。
 見せ方を熟知した作者ならでは。

■パターン③ (2手一組)×4 + 1手
(1)北岡正一 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn3-1.png
57香、同龍、55香、同飛、54香、同飛、53香、同飛、15角 まで9手。
☆不動玉で香4連捨て! 実に巧妙にできている。4枚目も玉から離れているのは希少価値が高いはず。

(2)三輪勝昭 氏作 詰パラ2013.12
20161016_ptrn3-2.png
69角、同と、59桂、同と、58銀、同と、48香、同と、57金 まで9手。
☆4連続の打ち捨て、応手はすべて「同と」である。捨駒が打ち捨てのみの場合は得てして一本調子になりがちなのだが、本作は1手ごとに異なった変化が伴うため、単調な感じはしない。
2013年度の9手短コンの優勝作。

■パターン④ 9手一組
(1)小湊奈美子 氏作 詰パラ1990.10
20161016_ptrn4-1.png
38金、同玉、37金、同玉、47と、同玉、37金、同玉、38金 まで9手。
☆手順が回文になっているという趣向。5手よりも長い手数を手掛けているのはこの作者だけ?

ここまでいずれも、「削るのも付け足すのも有り得ない」という作ばかりである。

■パターン⑤ その他
パターン①~④のどれにも当てはまらない作。実際の発表作では、これが大多数を占めているだろう。
そして「あ、これもっと手数伸ばせそう」とか「あ、これ頭2手削るべきだろ」と思えてしまう作も、結構な割合で見受けられる。

それでも、「削るのも付け足すのも有り得ない」という作はもちろん多数ある。
適当に選んだ作品を紹介しよう。

(1)水上仁 氏作 詰パラ1991.1
20161016_ptrn5-1.png
36飛、同香、34角、46玉、47飛、同玉、48金、46玉、68角 まで9手。
☆無駄の無い初形から、取られる地点に打つ初手、成れない地点から打つ3手目、そして大駒の足の長さを利用した変化処理。
1991年度看寿賞(奨励賞)。

(2)原亜津夫 氏作 詰パラ2002.9
20161016_ptrn5-2.png
94角、85金、58金、77玉、76馬、同金、86飛成、同金、67金 まで9手。
☆完璧な構成。2002年度看寿賞(短編部門)。

(3)赤羽守 氏作 詰パラ1984.10
20161016_ptrn5-3.png
85角、76桂、58銀、同玉、95角、57玉、68龍、同桂成、84角 まで9手。
☆鮮やかな手順は30年以上経った今でもまったく古さを感じさせない。

紹介したい作は他にも多数あるが、キリがなくなってしまいそうなのでこの辺で。

■結論…のようなもの
単なる紹介記事になってしまったが、最終的には作者自身が納得しているかどうかだと思う。
作家諸氏は、まずは投稿前に「果たして9手での表現がベストだろうか」と自問してみていただきたい。
これに対し、自信を持って「YES」と答えられるかどうか。そうでない場合は、投稿するべきではない。

『もう投稿を済ませてしまったぞ、もっと早く記事を出せ』 と多数からツッコミが入りそうだが。

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  1. 2016/10/16(日) 19:00:00|
  2. 考察
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Author:ほっと
詰将棋作家を名乗るには発表作が少なすぎ。
評論家を名乗るには実績が無さすぎ。

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