詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

第33回詰将棋全国大会 解答競争出題作について(1)

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さて、「気が向いたら書く」と言ったまま放ってあった、全国大会での解答競争出題作の解説を今頃になって書く。
裏短コンのネタにでもなれば。

まずはこの作。
第33回詰将棋全国大会 解答競争第10問
ちなみに出題形式は「初手を答えよ」というもの。
20171022_01.png

解説の前に、予備知識として、いくつか作品を紹介する。
まずは有名な作としてこちら。

■詰パラ1989.10 金子清志氏作「姫様ズームイン」
20171022_02.png
53飛、42玉、(A)73飛不成、64桂、53飛成まで5手。

まず、玉方の持駒は歩のみであることを頭に入れておこう。
(A)で83飛成?とすると、64歩!と打たれる。これに対しては74玉と逃げることができるため逃れ。
同様に、(A)で63飛成や73飛成もやはり64歩と打たれて、同龍と取ることができるため逃れ。
しかし、73飛不成!とすると、64歩?は打歩詰のため指すことができない、というからくり。64桂と跳ねて受けるのが最善だが、53飛成までで詰み。

なお、本作には(A)で57角上以下の余詰がある。34香→35香くらいで余詰は消せるようだが、これは作者が納得する修正図ではないだろう。
ともあれ、本作は打歩詰に関係する不成が3手で実現可能ということを示した画期的な作品。(※1)
ただし、この筋は構図のバリエーションが非常に少ない。というか、実質1種類しか存在しない。
類例を挙げよう。

■2009.7.19 第25回詰将棋全国大会 解答競争3手詰⑩ 松阪大輔氏作
20171022_03.png
83飛不成、74桂、63飛成まで3手。

83飛不成としたときに限り、74歩が打歩詰で打てなくなる。原理は金子氏作と同様。解答競争用とは言え、新作とは呼べないだろう。
このように、打歩詰に関係する不成を3手詰で実施しようとすると、構図としてはどうしても金子氏作とよく似た形になり、双玉だったり角2枚の配置だったりと特徴的な配置が現れてしまう。

さて、これを踏まえて、改めて最初の作を見てみよう。
20171022_01.png
タイムトライアル形式であり、制限時間内に1問でも多く解かねばならない。
初形を眺めて、歩以外の全駒が配置された(ように見える)初形に、75玉、63飛、58角、59香、85角といった特徴的な配置。
「あーはいはい。83飛不成の筋ね」と思い込んでしまった人が多数だったのだろう。そしてそう思い込んだ瞬間、この解答を白紙に戻して正解に辿り着くことはほぼ不可能になってしまう。
一見、歩以外の全駒が配置されているように見えるが、後手の持駒を表示させてみよう。
20171022_04.png
実は、後手の持駒に香がある! つまり、初手83飛不成では74香と打たれてしまい駄目である。
では作意は?
49角、54香、16角まで3手。
初手が16角の転回を作りつつ、合駒の香を吐き出させる一石二鳥の手。ちなみに2手目は58~54までどこに香合してもよい非限定。
というわけで、初手は「49角」が正解となる。
F四段やM六段、T氏も引っ掛かっていた。正解者は何名だったのだろうか。

※変化紛れについては、みんけんひでさんが詳細に解説されています。遅ればせながら、ありがとうございます。
「藤井四段が間違えた三手詰」を解説する

(※1) 3手詰で打歩に関係した不成を実現した第1号局は、下記のようだ。
■詰パラ1970.11 加藤徹氏作
20171022_05.png
52歩不成、(イ)53角、39香まで3手。
金子氏作の19年前に既に作られていたとは知らなかった。
なお、(イ)で63角は同飛成、53歩、同龍、同角、24角まで7手2駒余り。
3手詰で4手変長というのも時代を感じさせる。
ちなみに変長を消した修正図もある。

((2)に続く)

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  1. 2017/10/22(日) 00:01:00|
  2. 発表作
  3. | コメント:0
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