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詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

第ϻ回裏短コン「積極性について」

★14作目。本作を含めて残り7作ですが、うち6作が双玉です(笑)


6位(ボーナスポイントなし順位:5位)
「積極性について」
soga
ura3_14_Positive.png
39角、55金合、54歩、同金、52銀成まで5手。

点数012345678910
人数01003165553

正解31 誤解0 無解1 評価無効2
得点2.677
人気投票 1位:1票 2位:5票 3位:2票
ベストタイトル投票:なし

★初手は角を開くしかありませんが、17銀に狙いをつける39角が好手。これに対し、55歩などの受けでは17角と銀を取り、44歩、54銀まで駒が余ります。
 58龍が動けないことを見越して54に効かせる55金合がこの一手の受け。17角は44歩合とされると詰みません。
★しかし、よく見ると54歩と打てることがわかります。同金に52銀成で詰みとなります。
★本作は取歩駒が合駒で発生していますが、合駒の意味付けが「54に効かせるため」となっているのが新しい点です。

★ここで、森田手筋について書いておきましょう。オリジナルは次の作。
■森田正司氏作 詰パラ1959.9
ura3_14_Positive_Hosoku01.png
16桂、同飛不成、25香、15玉、33馬、26玉、44角、35桂合、15馬、同玉、
33角成、26玉、27歩、同桂、35銀、同玉、24馬まで17手。

★森田氏作は、消極的な意味付け(詰方が取った後に有効な使い道がない)によって35桂合が選ばれ、その結果27に効きが生じることを利用しています。
★なお、本来の森田手筋は「35桂合発生 + 44角の消去」の部分、すなわち「取歩駒が合駒で発生した後、合駒のピンを外す」までを含めたものだったはずですが、取歩駒が合駒で発生することのみを森田手筋と呼んでしまっている場合も多いです。
 合駒のピンを外す部分を含めるかどうかについては、今回は深く立ち入らないことにします。

★「取歩駒を合駒により発生させる」部分について、合駒の意味付けについては、他にもいろいろ考えられます。
 5手で表現したものを挙げておきましょう。
■山田嘉則氏作 (若島正氏改作) この詰将棋がすごい!2012年度版
ura3_14_Positive_Hosoku03.png
54桂、46金、45歩、同金、43銀成まで5手。
★3手目56王とする手があります。2手目はこれを防ぐ合駒が必要ですが、47銀や47飛成は76王で詰み。
 46金合が最善で、金が発生したため45歩が打てて詰みました。
★手順だけ見ればsogaさん作とほぼ同じですが、金合の意味付けが異なっていることがわかります。

★さて、森田氏作と山田氏作はいずれも、合駒の意味付け(A)と打歩地点への効き(B)が分離した構成になっています。
 すなわち、とある理由で合駒をしたらその合駒はたまたま打歩地点に効きを持つものであった、という流れになっています。
★これに対し「打歩地点に効かせるために合駒をする」という意味付け、すなわち「積極的意味付け」により取歩駒を発生させた、というのが本作です。

作者
積極的意味付けの合駒による森田手筋というテーマは、すでに複数の作者によって創作が試みられている。ここでは当該テーマにおける最小の構成について検討を行い、5手詰での表現を得た。これは、最短手数の森田手筋の一例になっている。
★学術論文の冒頭っぽい文章。

★もちろん、過去の作例との相違や意味付けの新規性まで理解していなくても、解答や鑑賞は可能です。しかし、それらを踏まえた上で鑑賞すると、よりいっそう楽しめるのではないでしょうか。
★本作が有する「奇妙でパラドキシカルな雰囲気」は、解答者にも伝わったようです。


kisy
自ら打歩詰を解除する55金合はとても不思議⋯。

有吉弘敏
前衛的。こんな手順ははじめての体験。

竹中健一
55金!凄い受け方ですね!

占魚亭
取歩駒を吐き出させるための鋭い限定移動。

hiro
1七の銀を質駒にすることを見越した初手。

梶谷和宏
5手詰でよくぞ金の中合を出したもの。17銀がなければもっと良かった。どうしても17に狙いをつけて駒を動かしてしまう。
★3手目同飛とは取れないため、中合と呼ぶのはちょっと違うような気がします。

おかもと
やりたいことはわかるが、17銀の質駒がちょっと露骨。

まさ
やむを得ないのだろうが、銀を狙う露骨な初手が惜しい。
★作者の狙いは初手ではないので私は気になりませんでしたが。

竹野龍騎
スマート。シン・ゴジラならぬ真・森田(手筋)。57桂は効かないのも面白い。

不透明人間
六八飛不可
★68龍が飛だと、2手目57桂合で逃れですね。

林石
どうやっても詰みそうでいて、案外そうでもないんですね。

松尾裕
この合駒だけが駒余りを避けられるとは。

あたまかな
手順は好み、見た目は巧い。

まつきち
55金合は不思議な受け。
5手詰に持駒に歩があるのは損ですね。

上谷直希
積極的な中合で直後に打歩詰が打開される展開。意味付けもスマートで素晴らしいと思います。

高坂研
理論上最短の森田手筋。前例はあるも、上手く出来ていると感心した。

オオサキ
55金は54に利かすために打っていると。なるほど。マニア受け。

近藤郷
わざわざ歩が打てるようにしてくれる。

園川
54銀打を防ぐ金合を逆用して打歩詰を打開する。

らうーる
無駄に豪華な合駒にナルホド。

tsumegaeru
54に効きのある合駒でないと駒余りで詰みで、さらに54に効きのある合駒だからこそ打歩詰が打開されるという、この直接的な論理がいいですね。

三輪勝昭
詰方は玉方駒が54に利く駒があるとありがたい。その55金を発生させる摩訶不思議。理屈が実に面白い。
ただ評価点は詰上がりに大駒3枚も不要になるので大きく減点してます。
超短編は論理さえ面白ければそれで良いとは思うのですが、僕なんで。

★さて作者予想。
鈴川優希
これは好き。パラドキシカルな感じがたまらない。68龍の配置はつらい……。tsumegaeruさんかなあ。

久保紀貴
"積極的意味合いの"取歩駒の発生ということですね。
54に利かせたことが裏目に出るパラドキシカルな味があり、良いと思います。
作者予想:tsumegaeru

青木裕一
森田手筋かどうか中合かどうかについても、もめそうな作品。オオサキさん予想。

相馬慎一
おそらくオオサキ作。5手で表現できるとは!

名無し名人
理論上最短の取歩駒発生。打歩詰の形なのにわざわざ金合を出してくれる不思議。作者予想=相馬慎一氏。

ミーナ
打歩ものなのに、攻守とも得な手をえらぶ。
一周まわって、凡手の応酬。へんな味わい。作者は青木さん

奥鳥羽生
取銀駒を取歩駒として逆用。(kisy)

虹色のルモ
後ろに利かない駒は銀取から歩余り、という事で金合ですが打歩が打開されてるので詰んでしまうという理不尽な限定合なんですよね
作者予想:soga様
★作者予想はルモさんが唯一的中。

★最後に、積極的な意味付けの取歩駒発生作品を紹介します。
■相馬慎一氏作 「真・森田手筋」 詰パラ2015.8
ura3_14_Positive_Hosoku04.png
57馬、45玉、35馬、56玉、64香、(イ)65桂合、34馬、46玉、24馬、45玉、
72馬、54銀合、35馬、56玉、57歩、同桂成、83馬、65銀、57馬、45玉、
72馬、54銀、35馬、56玉、83馬、65歩合、48桂、同歩成、57歩、47玉、
36馬まで31手。

(イ)65歩合は34馬、46玉、24馬、45玉、72馬、54銀合、46歩、56玉、23馬で、
  ・46玉は13馬以下。
  ・34桂合は同馬、46玉、35馬、56玉、48桂、同歩成、57歩以下。
★(イ)の変化中の57歩を防ぐために65桂合が最善となります。
 57歩と打たれるのを防ぐために65桂合をした結果、別の手順で57歩を打てて詰む、という、パラドキシカルな内容。
 意味付けにこだわる方は必見!




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  1. 2018/01/05(金) 00:01:00|
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