詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

第ϻ回裏短コン「偽りの鏡」

★残り4作、解説もラストスパート。


4位(ボーナスポイントなし順位:1位)
「偽りの鏡」
園川
ura3_17_Itsuwari.png
48飛、66角、55桂、48角成、43桂成まで5手。

点数012345678910
人数00001136647

正解30 誤解0 無解2 評価無効2
得点2.784
人気投票 1位:8票 2位:6票 3位:6票
ベストタイトル投票:なし

★初手は88飛を動かしますが、意外と紛れがあります。
 ・83飛成は55桂以下逃れ。
 ・85飛は55角以下逃れ。
 ・86飛は66歩、同角、53玉以下逃れ。
★初手は48飛が正解。53玉は63香成ですし、66歩でも55桂、53玉、63桂成まで。55歩と突くのも同桂、53玉、63桂成まで。
 どう受けても駒が余るようですが、妙防がありました。66角! 同角は53玉で際どく逃れ。
★55桂と跳ねたときに48角成と飛を取れるのが角を中合した効果。しかし43桂成までで詰みとなります。
★密かに裏短コン皆勤の作者。今回も鮮烈な手順でした。

作者
当初20枚あったものを7枚減らして14枚以下にすることに成功しました。
角合と桂二段跳が狙いで、2手目55歩の変化に対しても二段跳で詰みます。
★5手詰で中合を動かすという狙いは、作例はあれどまだまだ希少。
★実はボーナスポイントなしでの順位が1位でした。今回の裏短コンで設けた+0.1点ルールの弊害を受けてしまったようで、非常に心苦しいです。


虹色のルモ
なんでしょうね、このかっこ良すぎる作品は 

林石
香筋を止めつつ角中合が華麗。これを取らず桂を二回跳ね出し両王手でのフィニッシュも豪快。

松尾裕
駒が余らない順はこれだけ。

あたまかな
手順は素晴らしい、見た目は巧い。

まさ
躍動感あふれる手順。

占魚亭
合駒移動に桂二段跳ね、気持ちいい手順。

不透明人間
大胆且軽妙

おかもと
66角合は非常にうまい。

まつきち
開き王手に中合、その中合が動いて両王手のフィニッシュと、密度の濃い手順。

三輪勝昭
素晴らしい。ただ、このブログ展でなく普通に詰パラに投稿しても良かったのでは。
★詰パラに発表していても間違いなく高得点だったはずです。

らうーる
こちらも連鎖反応的で上位互換かも。
★バッテリーが次々に入れ替わる、という構成が似ています。

tsumegaeru
鮮やかな角中合い

有吉弘敏
上谷作の斜めバージョン。こうやって実現するのですね。

竹野龍騎
作意は一目だったが偽作意かと再考。看寿賞作に似た造りで巧い。見えている作意の裏側に多くの変化紛れがある、いやそもそも作意は存在するのか、ということ?
★タイトルについての作者コメントは無し。2~4手目のイメージ(角には角で受ける、そしてすぐに移動してしまう)からでしょうか。

近藤郷
流行型かな?

竹中健一
すごく面白いことを期待したのですが、普通でした…

オオサキ
よく見るタイプ。
★何もかも新鮮だったあの頃には戻れない・・・。

★それはともかく、作者を予想してみたくなる手順だったようで、作者予想を試みた解答者が11名。今回最多でした。
梶谷和宏
これが最後まで残りました。中合による紛れ手順も高質で、首位争いに食い込みそう。作者は柳原さんではないでしょうか。

高坂研
これは綺麗に出来ている。柳原さんか?

上谷直希
絶品。63の駒種は別にすると余詰があるんでしょうね。
作者予想はほとんど分かんないけどこれは柳原さん作なような気がする。

鈴川優希
楽しい楽しい。とってもスマート。作者は柳原さんじゃないかな……。
★柳原さん予想が多かったです。

kisy
48飛としてどう受けても駒が余る⋯、と思ったら66角の中合!解後感も良かったです。作者予想はほっとさんです。

久保紀貴
5手で中合を動かすのが狙いでしょうか。
普通このテーマだと初手や3手目が冴えない手になってしまいがちですが、本作はそのあたりも巧くできていますね。
タイトルは偽りシリーズ?これでほっとさんじゃなかったらとんだミスディレクション。
ジョーカーその②ですね(笑)
作者予想:ほっと
★前回の裏短コン「偽りの恋人達」(こちらは双方が合駒を2手後に動かすのがテーマ)とタイトルやテーマが似ているので、ほっと予想もチラホラ。

soga
無理のない初形から中合動かし。すごい。
作者予想:tsumegaeruさん

奥鳥羽生
中合を動かす。(三輪勝昭)

ミーナ
タイトルから、てっきり、偽作意ものかと疑った。
変化処理がスムーズで、このまま短編名作選においても違和感がない。
作者は相馬さん
★中合を動かす系の作は多くの作家が手掛けているため、意外と当てにくかったようです。

青木裕一
超短編鉄板のネタ。園川さん予想。

名無し名人
5手で中合動かしも今ではテンプレ化しつつあるけど、やっぱり好きなんだよなあ。作者予想=園川氏。
★青木さん、名無し名人さんが的中。
★実は園川さん、第n回裏短コンでも角の中合を動かす作を手掛けていました。
 ⇒第n回裏短コン「カルマン渦」
 これと似ていることに気付けば作者当ては容易だったかもしれません。

★最後に、短評で触れられていた上谷氏作を紹介します。
■上谷直希氏作 詰パラ2016.1
ura3_17_Itsuwari_Hosoku01.png
65銀、同桂、94飛、84角、74銀不成、62角、63銀上成まで7手。
★2016年度看寿賞短編賞受賞。「中合を2手後に動かす」というテーマを完璧に表現した傑作。



  1. 2018/01/08(月) 00:01:00|
  2. 第ϻ回裏短コン
  3. | コメント:0

第ϻ回裏短コン「クロスホッパーズ」

★お待たせしました、優勝作品の登場です!


優勝(ボーナスポイントなし順位:2位)
「クロスホッパーズ」     【+0.1】
久保紀貴
ura3_16_Hoppers_GoteMochigoma.png
43桂不成、57桂不成、55歩、53玉、45桂まで5手。

点数012345678910
人数01000116364

正解23 誤解7 無解2 評価無効1
得点2.868
人気投票 1位:5票 2位:7票 3位:4票
ベストタイトル投票:6票(1位!

★詰パラ大学担当の久保さんの作。実は今回、誤解が最多でした。
★玉方の持駒は歩だけ。しかし、初手63香成などでは65歩と打たれて駄目です。
★持駒に歩があるので、これを使うことを考えると、初手は55桂を動かす一手。しかし初手43桂成や63桂成は58金と取られて、打歩詰になってしまいます。
 では初手63桂不成は? やはり58金とされて、55歩、53玉、45桂に同香で詰みません。
★初手は43桂不成が正解。これなら58金は55歩、53玉、45桂で、あれれ、桂が余ってしまいました。
★2手目は、桂を57に逃げておく移動合です。57桂成でも57桂不成でも、55歩、53玉、45桂までで詰んでいます。

★さて、2手目は成っても成らなくても同じなのでしょうか? いいえ、2手目57桂成の場合、63香成という手があります。
 これに対し65歩は打歩詰で打てないため、76飛、同角まで駒余りで詰ますことができます。
★2手目は57桂不成が正しい応手。これなら63香成は65歩と受けて詰みません。結局、双方が打歩回避の桂不成を行う、という趣向でした。最終手も桂跳ねで、タイトルも内容とマッチしています。

作者
双方不成がテーマです。予定していた作品が駒数11枚に収まってしまったため、急遽作りました。
ギリギリの創作で構図を吟味できていないので、もしかすると桂以外でも可能かもしれません。ただ、考えた限りでは桂以外では無理かなと思います。
★「打歩に関係する双方不成」は5手が最短ですが、前例はあったかどうか。
★デッドヒートを制し、見事に優勝。おめでとうございます。ちなみにベストタイトル賞も獲得し、二冠達成です。

★余談ながら、柿木将棋Ⅸ(V9.22、V9.24で確認)に解かせると、2手目は57桂成と解答して来ます。ソフトも完璧ではないことを認識する必要がありますね。


竹中健一
2手目の不成がいいですね!

竹野龍騎
双方打歩テーマで双方桂生! 風格がある。57飛成の逆王手も面白い。
★2手目57飛成は同香~55飛までですね。

林石
双方不成は幾つか目にしたことがありますが、桂馬のみでしかも5手詰だと初めてです。双玉ならではの意味づけが勉強になります。

あたまかな
手順は非常に良い、見た目は好みでない。

不透明人間
二手目重要

占魚亭
双方打歩回避不成。2手目は成るところでした(危なかった)。
パラ出題だったら、誤解者はどれくらい出たんだろう。

オオサキ
変別正解論者は2手目成でも正解なのだろうか。
★ちなみに今回は2手目「57桂成」「57桂」の解答は×にしています。作品の根幹に関わる部分なので。

おかもと
この作品も、3手目に歩を打てるようにと考えると解が見えてくる。

まつきち
桂の双方不成という高級な手順。今回の打歩打開モノでは上位。

園川
初手と2手目が絶妙。双方玉に打歩詰の筋が絡んでいるのか!

tsumegaeru
双方桂生が面白い

相馬慎一
この筋は飽きたがちょっとひねってあることに好感。

まさ
ルールを巧みに利用した双方桂不成。アイデア賞。

三輪勝昭
2手目は57桂成だろうが57歩合だろうが、作意と同じ順で詰む。
それでは57桂生は規約上成立しているだけで、妙手ではないと言うのが僕の考え方。
★これは気にする人は気にするでしょう。本作に関してはうまく利用していると思いました。

らうーる
こころがぴょんぴょんす(ry 
★ちなみに本作は捨駒なし、すなわち「No Poi」(ry

★作者予想です。
soga
攻方玉打歩モノかと思いきや、双方桂不成が出てきた。すごい。
作者予想:久保紀貴さん

青木裕一
逆打歩詰系の変化球。久保さん予想。
★sogaさん、青木さんが作者当て的中。

上谷直希
この配置で作意順に逆打歩詰誘致が出てこないのは珍しい。桂が主役ということですね。
オオサキさん作なような気配がする。

ミーナ
2手目を限定にするための、逆打歩セットが豪華。
33と73の金はなくても大丈夫そう。作者はオオサキさん
★33金・73金の2枚は花駒(合駒制限の意味しか持っていない駒)のようです。気付きませんでした。

名無し名人
5手で双方不成を行うには変別絡みにするしかなさそうですか。今回の条件で逆打歩詰系がこれ1作だけなのは意外。作者予想=オオサキ氏。
★オオサキさん予想が多かったです。

鈴川優希
逆打歩詰回避。意外に新構想だったりするかもですね。それに+αでノーマル打歩詰回避の初手を入れて、桂生の対をなしているあたりも唸らされる。
馬屋原さんでしょと思ったら参加していない!? では相馬さんで。

kisy
双方桂不成!玉方の桂不成の仕組みが面白かったです。作者予想は前回の裏短コンで逆打歩詰関連の作品を発表していた相馬慎一さん。
★それは馬屋原さん作だったかと。

久保紀貴
拙作。(打歩詰に関係する)双方不成を最短手数で実現した作品です。
色々と考えてみましたが、桂以外では構図が取れなさそうです。
ネタ提供はkisy氏。ありがとうございました。
★5手で打歩に関係する双方不成(同種駒)が本当に桂以外で不可能かどうか。皆さんも挑戦してみては?

★最後に、打歩に関係する双方不成(同種駒)を7手で実現した作を。
■馬屋原剛氏作 「欺きの一角獣ユニコーン」 2015.11 my cube 第n回裏短コン
ura3_16_Hoppers_Hosoku01.png
13角不成、36角不成、26桂、25玉、45飛、同角、35角成まで7手。

★これが特別な理由は、「作意手順に歩を打つ手が出てこない」ということ。超絶技巧の内容で、第n回裏短コン優勝も当然でしょう。
 詳しい解説はこちらで。




  1. 2018/01/07(日) 00:01:00|
  2. 第ϻ回裏短コン
  3. | コメント:2

第ϻ回裏短コン「捨駒の練習」

★ちえのわ雑文集で、第ϻ回裏短コンについて書くことになりました。


12位(ボーナスポイントなし順位:11位)
「捨駒の練習」
tsumegaeru
ura3_15_Practice.png
52龍、同香、53飛、同香、44銀不成まで5手。

点数012345678910
人数00143663420

正解31 誤解0 無解1 評価無効2
得点2.499
人気投票 1位:- 2位:- 3位:-
ベストタイトル投票:1票

作者
後方からの連捨てをしたかっただけです。満足のいく出来ではないですが、参加することに意義があると考えて投稿します。

★tsumegaeruさんの作。双玉で、いかにも何かありそうです。
★初手から54飛では同香で、同銀成とはできないので同と、65玉、62龍、74玉以下、きわどいですが詰みません。
 少しひねって初手53飛も同角で、やはり54銀成とはできず駄目です。
★そこで、初手に52龍と焦点に捨てるのが好手。同馬なら54飛までなので、同香しかありません。
 馬筋が塞がったところで、改めて焦点に捨てる53飛が好手。同角なら54銀成まで。こちらも正解ですが、作意は同香、44銀不成まで。
★焦点への連続捨て駒自体はよく見かける筋ですが、2箇所とも玉から離れている、というのは案外珍しいかも?
 双玉を利用していることもあり、ちょっと変わった雰囲気だと思います。


虹色のルモ
焦点捨て2連発のかっこいい作品

有吉弘敏
これは創作の難度が高そう。上手い。

梶谷和宏
気持ちいい捨て駒の連発。分かりやすくて思わず頷く。

竹野龍騎
趣向的構想作。43銀のピンを巡る攻防。55玉の前と横が空いているのも良い。

林石
初手、三手目と玉方の対応を問いますが、龍飛を気前よく捨てる順は爽快。飛車二枚vs角二枚。

あたまかな
手順は良い、見た目はセンス良し。

まさ
龍・飛の連続捨ては鮮やか。

松尾裕
確かに練習になる。

オオサキ
ほんとに練習だった。

kisy
練習できました!

三輪勝昭
捨駒の練習になりました。

★練習の次は実戦、ということで・・・
占魚亭
将棋教室の生徒に出題、1本取りました(笑)。
★一手◯円、とかではないですよね?

不透明人間
二段階焦点

奥鳥羽生
作意は44銀生かな。
★正解!

まつきち
龍飛の連捨ては爽快な手順。

近藤郷
分かっていても、感心する。

園川
連続「角と香の焦点への飛車捨て」。

久保紀貴
飛の連続捨て。初々しさがあって嫌いじゃないです。

らうーる
逆算作家的にはこういうのがお好き。

柳原夕士
気持ち良い。

竹中健一
初手がいいですが、普通ですね。

おかもと
なんとなく指してから初手の意味に気付く。

鈴川優希
まず解けて意味付けは後から考えるやつですね。双玉にしてあっさり図化したのは逆に好感。タイトルには課題あり。三輪さんですかね?

名無し名人
双玉だけど極めてオーソドックス。欲を言えば初手を飛打ちにしたい。作者予想=青木裕一氏。

ミーナ
焦点捨て2連発。初手を飛車打にしろと、三輪さんが検定問題に出しそう。
わたしにはできないけど。作者は中山さん
★この図のまま32龍を持駒にすると、いきなり53飛が成立してしまいますが、さて可能でしょうか?

上谷直希
ツインじゃないのにツインのような感覚。
sogaさん作なような気配がする。

soga
ロジカルに捨駒が決まるのは、分かっていても気持ちがよい。同香、同香のリズムが良いので、4手目は香にしました。
作者予想:竹野龍騎さん
★作意は同香で、解答もほとんどが同香派でした。

青木裕一
ここまでできるなら練習は必要ないのでは?柳原さん予想。
★作者当ては的中者なし。確かにもっと大胆な配置で作ってくるイメージがあります。
 前回の裏短コン出品作はこちら
 
★最後に、本作と似た構成の、後方からの龍捨てを2連続で行う作例を紹介します。
■山田康平氏作 『うるてぃめいと』第168番
ura3_15_Practice_Hosoku01.png
55龍上、(イ)同角、56龍、(ロ)同桂、44香まで5手。
★初手に45の龍で王手すると、69玉と潜られて困ります。初手は46の龍を動かしますが、55龍が面白い手。
 (イ)69玉なら46香まで。
 (イ)同桂なら同龍として、どう応じても44香までで駒余り。
 (イ)同香なら56龍として、(1)同桂は43香成まで、(2)それ以外の応手は44香まで、どちらも駒余り。
 2手目は同角が最善で、これにも56龍。(ロ)同桂以外はやはり44香までで駒余り。
 4手目は同桂と逆王手で受けるのが最善で、対する44香がさらに逆王手で詰みとなります。
★2枚の龍をたすき掛けに捨てる、凝った手順です。変化もボリュームたっぷりですね。

【追記】
★コメント欄にあった作を置いておきます。
■中筋俊裕氏作 詰パラ2012.7
ura3_15_Practice_Hosoku02.png
26銀、46玉、43飛、同香、44飛、同香、45金、同馬、37銀、同玉、47金まで11手。

★後方からの飛飛金の3連捨てを実質9手で実現。いずれも焦点捨てになっていることにも注目。
 3連捨てなら7手が最短ですが、最短にこだわらなければそれほど駒を増やさずに実現できるということですね。




  1. 2018/01/06(土) 00:01:00|
  2. 第ϻ回裏短コン
  3. | コメント:7

第ϻ回裏短コン「積極性について」

★14作目。本作を含めて残り7作ですが、うち6作が双玉です(笑)


6位(ボーナスポイントなし順位:5位)
「積極性について」
soga
ura3_14_Positive.png
39角、55金合、54歩、同金、52銀成まで5手。

点数012345678910
人数01003165553

正解31 誤解0 無解1 評価無効2
得点2.677
人気投票 1位:1票 2位:5票 3位:2票
ベストタイトル投票:なし

★初手は角を開くしかありませんが、17銀に狙いをつける39角が好手。これに対し、55歩などの受けでは17角と銀を取り、44歩、54銀まで駒が余ります。
 58龍が動けないことを見越して54に効かせる55金合がこの一手の受け。17角は44歩合とされると詰みません。
★しかし、よく見ると54歩と打てることがわかります。同金に52銀成で詰みとなります。
★本作は取歩駒が合駒で発生していますが、合駒の意味付けが「54に効かせるため」となっているのが新しい点です。

★ここで、森田手筋について書いておきましょう。オリジナルは次の作。
■森田正司氏作 詰パラ1959.9
ura3_14_Positive_Hosoku01.png
16桂、同飛不成、25香、15玉、33馬、26玉、44角、35桂合、15馬、同玉、
33角成、26玉、27歩、同桂、35銀、同玉、24馬まで17手。

★森田氏作は、消極的な意味付け(詰方が取った後に有効な使い道がない)によって35桂合が選ばれ、その結果27に効きが生じることを利用しています。
★なお、本来の森田手筋は「35桂合発生 + 44角の消去」の部分、すなわち「取歩駒が合駒で発生した後、合駒のピンを外す」までを含めたものだったはずですが、取歩駒が合駒で発生することのみを森田手筋と呼んでしまっている場合も多いです。
 合駒のピンを外す部分を含めるかどうかについては、今回は深く立ち入らないことにします。

★「取歩駒を合駒により発生させる」部分について、合駒の意味付けについては、他にもいろいろ考えられます。
 5手で表現したものを挙げておきましょう。
■山田嘉則氏作 (若島正氏改作) この詰将棋がすごい!2012年度版
ura3_14_Positive_Hosoku03.png
54桂、46金、45歩、同金、43銀成まで5手。
★3手目56王とする手があります。2手目はこれを防ぐ合駒が必要ですが、47銀や47飛成は76王で詰み。
 46金合が最善で、金が発生したため45歩が打てて詰みました。
★手順だけ見ればsogaさん作とほぼ同じですが、金合の意味付けが異なっていることがわかります。

★さて、森田氏作と山田氏作はいずれも、合駒の意味付け(A)と打歩地点への効き(B)が分離した構成になっています。
 すなわち、とある理由で合駒をしたらその合駒はたまたま打歩地点に効きを持つものであった、という流れになっています。
★これに対し「打歩地点に効かせるために合駒をする」という意味付け、すなわち「積極的意味付け」により取歩駒を発生させた、というのが本作です。

作者
積極的意味付けの合駒による森田手筋というテーマは、すでに複数の作者によって創作が試みられている。ここでは当該テーマにおける最小の構成について検討を行い、5手詰での表現を得た。これは、最短手数の森田手筋の一例になっている。
★学術論文の冒頭っぽい文章。

★もちろん、過去の作例との相違や意味付けの新規性まで理解していなくても、解答や鑑賞は可能です。しかし、それらを踏まえた上で鑑賞すると、よりいっそう楽しめるのではないでしょうか。
★本作が有する「奇妙でパラドキシカルな雰囲気」は、解答者にも伝わったようです。


kisy
自ら打歩詰を解除する55金合はとても不思議⋯。

有吉弘敏
前衛的。こんな手順ははじめての体験。

竹中健一
55金!凄い受け方ですね!

占魚亭
取歩駒を吐き出させるための鋭い限定移動。

hiro
1七の銀を質駒にすることを見越した初手。

梶谷和宏
5手詰でよくぞ金の中合を出したもの。17銀がなければもっと良かった。どうしても17に狙いをつけて駒を動かしてしまう。
★3手目同飛とは取れないため、中合と呼ぶのはちょっと違うような気がします。

おかもと
やりたいことはわかるが、17銀の質駒がちょっと露骨。

まさ
やむを得ないのだろうが、銀を狙う露骨な初手が惜しい。
★作者の狙いは初手ではないので私は気になりませんでしたが。

竹野龍騎
スマート。シン・ゴジラならぬ真・森田(手筋)。57桂は効かないのも面白い。

不透明人間
六八飛不可
★68龍が飛だと、2手目57桂合で逃れですね。

林石
どうやっても詰みそうでいて、案外そうでもないんですね。

松尾裕
この合駒だけが駒余りを避けられるとは。

あたまかな
手順は好み、見た目は巧い。

まつきち
55金合は不思議な受け。
5手詰に持駒に歩があるのは損ですね。

上谷直希
積極的な中合で直後に打歩詰が打開される展開。意味付けもスマートで素晴らしいと思います。

高坂研
理論上最短の森田手筋。前例はあるも、上手く出来ていると感心した。

オオサキ
55金は54に利かすために打っていると。なるほど。マニア受け。

近藤郷
わざわざ歩が打てるようにしてくれる。

園川
54銀打を防ぐ金合を逆用して打歩詰を打開する。

らうーる
無駄に豪華な合駒にナルホド。

tsumegaeru
54に効きのある合駒でないと駒余りで詰みで、さらに54に効きのある合駒だからこそ打歩詰が打開されるという、この直接的な論理がいいですね。

三輪勝昭
詰方は玉方駒が54に利く駒があるとありがたい。その55金を発生させる摩訶不思議。理屈が実に面白い。
ただ評価点は詰上がりに大駒3枚も不要になるので大きく減点してます。
超短編は論理さえ面白ければそれで良いとは思うのですが、僕なんで。

★さて作者予想。
鈴川優希
これは好き。パラドキシカルな感じがたまらない。68龍の配置はつらい……。tsumegaeruさんかなあ。

久保紀貴
"積極的意味合いの"取歩駒の発生ということですね。
54に利かせたことが裏目に出るパラドキシカルな味があり、良いと思います。
作者予想:tsumegaeru

青木裕一
森田手筋かどうか中合かどうかについても、もめそうな作品。オオサキさん予想。

相馬慎一
おそらくオオサキ作。5手で表現できるとは!

名無し名人
理論上最短の取歩駒発生。打歩詰の形なのにわざわざ金合を出してくれる不思議。作者予想=相馬慎一氏。

ミーナ
打歩ものなのに、攻守とも得な手をえらぶ。
一周まわって、凡手の応酬。へんな味わい。作者は青木さん

奥鳥羽生
取銀駒を取歩駒として逆用。(kisy)

虹色のルモ
後ろに利かない駒は銀取から歩余り、という事で金合ですが打歩が打開されてるので詰んでしまうという理不尽な限定合なんですよね
作者予想:soga様
★作者予想はルモさんが唯一的中。

★最後に、積極的な意味付けの取歩駒発生作品を紹介します。
■相馬慎一氏作 「真・森田手筋」 詰パラ2015.8
ura3_14_Positive_Hosoku04.png
57馬、45玉、35馬、56玉、64香、(イ)65桂合、34馬、46玉、24馬、45玉、
72馬、54銀合、35馬、56玉、57歩、同桂成、83馬、65銀、57馬、45玉、
72馬、54銀、35馬、56玉、83馬、65歩合、48桂、同歩成、57歩、47玉、
36馬まで31手。

(イ)65歩合は34馬、46玉、24馬、45玉、72馬、54銀合、46歩、56玉、23馬で、
  ・46玉は13馬以下。
  ・34桂合は同馬、46玉、35馬、56玉、48桂、同歩成、57歩以下。
★(イ)の変化中の57歩を防ぐために65桂合が最善となります。
 57歩と打たれるのを防ぐために65桂合をした結果、別の手順で57歩を打てて詰む、という、パラドキシカルな内容。
 意味付けにこだわる方は必見!




  1. 2018/01/05(金) 00:01:00|
  2. 第ϻ回裏短コン
  3. | コメント:0

第ϻ回裏短コン「詰備会で作りました」

★いよいよベスト3入賞作品が登場。しかし改めて眺めると前半10作と後半10作の順位バランスが極端すぎ・・・。


3位(ボーナスポイントなし順位:4位)
「詰備会で作りました」     【+0.1】
中山智希
ura3_13_Tsumebikai.png
35香、同飛、38飛、99香成、55角まで5手。

点数012345678910
人数000024151040

正解30 誤解0 無解2 評価無効4
得点2.787
人気投票 1位:5票 2位:3票 3位:2票
ベストタイトル投票:1票

★88飛・99角という配置から開き王手が見えます。16箇所に開き王手が可能ですが、有力なのは38飛。
 99香成なら55角までで詰みですが、44歩合と合駒されると、
  ・55角右は36桂!以下逃れ。
  ・44同角、同飛、55角も36桂以下逃れ。
  ・15角は34歩合以下逃れ。
 初手38飛では詰まないようです。
★初手に戻って83飛成は99香成。初手84飛も44歩合で、どうも詰みません。
★もう一度初手に戻って55角も見えますが、同飛でも44歩合でも詰みません。
★仕方が無いので35香と打ってみます。34歩合なら83飛成~34銀成で駒余りなので、35同飛と取る一手。
 こうしておいてから38飛とするのが変わった感触の手で、飛車を35に移動させたため44歩合は効きません。
 99香成に55角と飛び出せば、何とこれで詰んでいます!
★初手38飛や55角は見える手。そして持駒の香も35あたりに使うしかない。
 しかし、初手35香で3筋をわざわざ二重に遮断させておいてから38飛という組み合わせはひと目では見えないでしょう。
★かなり無茶をした手順のため、余詰防止駒が大変なことになっていますが、あくまで手順に妥協をしなかった結果。
 狙いはしっかりと伝わったようで、見事に3位入賞です。
★さて、見覚えのない作者名ですが・・・実は次の4名の合作でした。
   ◯ ◯ ◯ (まさ)
  片 倫 生
  ◯ ◯ ◯ (まつきち)
  上 谷 直

作者
まさ―詰備会で即席で合作で作りました。もう1枚減らしたかったが、この辺が限界でした。
片山倫生―とにかく余詰の雨嵐の苦労作です。
まつきち―アイデアを実現するのは大変です!
上谷直希―柿木さんを携えて検討係です。変化を成立させて紛れを不詰にするみなさんの苦労をご鑑賞ください。
★2017/11/4の詰備会で創っていただいた作。
 もらった後、「合作不可」となっていた投稿規定をこっそり直したのは秘密。


上谷直希
65桂は初手85飛と98飛対策で、16とは初手38飛と18飛対策。
62歩は初手83飛成対策。この歩を香にして65桂配置を省けないかなぁ?とは誰しもが思うところですが、初手85飛の余詰が消えないのではいけません。
色々な案が話されましたが、多少の犠牲を払ったとしてもこの初手は入れたいですよね。

まつきち
手順前後を消すために苦労…。

梶谷和宏
3筋にもう一枚壁を作ってから38飛というのが頑固な好手。最終手の55角も気持ちいい。

竹中健一
陰に隠れる38飛とは!

林石
開き王手は83か38か。後者よりなさそうだが、直ちに開くと飛車の守りが意外と固い。これに働きかける初手香打ちは、予定する飛車の利き筋だけにやりにくいように感じます。

虹色のルモ
複数人でということなのですね、レベル高いです

有吉弘敏
これを即興で作れるものなのか・・。凄い。

松尾裕
さすがチームワークの賜物。

あたまかな
手順は良い、見た目は仕方ないか。

占魚亭
受方飛の位置調整。両王手で仕留めることに拘ると苦労するかも。

kisy
単に両王手をみた初手38飛がダメなのがビックリ!

不透明人間
合駒不登場

おかもと
初手の意味づけがややこしい。

三輪勝昭
35飛にすると55角が両王手にならないから損。35香は損をする捨て駒なんで理屈を考えないと入らないが、巧く出来ている。
ただ、65桂が77に利いているので4手目77合があるのが不満。僕は完全限定に出来る手順は完全限定にする主義なんで。

近藤郷
83飛成を含んだ初手は面白い。

らうーる
紛れとの区別が一瞬わからなくなる。

オオサキ
初手をどう捉えればいいのか。わざわざラインを閉じてるってことかな。

tsumegaeru
あえて両王手じゃなくするのがいいですね。

園川
両王手の筋をあえて消してからのピンメイト。

相馬慎一
遮断駒を2重にしてからのピンメイト。

竹野龍騎
両王手と見せてピンメイト。作意は一目で見えて嬉しい。
★短評被りはともかく、これをひと目とは・・・。

★そして作者予想。検索すれば詰備会参加者や「合作で作った」などの情報が出てくるため、そこから合体ペンネームを見抜いた解答者も多く、的中者が最多となりました。

青木裕一
中山智希さん予想。各作者の名前から一字ずつ取った合成筆名的なヤツですか?

名無し名人
わざわざ両王手にならない形にする面白さ。これぞ超短編の味。31銀が3手目以降働かないのが気になるけど、今回の中では首位か。作者予想=中山智希氏(4名の合作?)。

奥鳥羽生
24桂の差金で、わざわざ両王手にしないようにする。(中山智希)

soga
限定打から角の後ろに飛車を回り込むコンビネーションの味がよい。
作者予想:中山智希さん

久保紀貴
敢えてラインを閉じるかのような35香が不思議な感触の一手。
考えてみれば44の利きを外すだけの意味なのですが、不利感があります。
詰上がりの形もいい感じ。
作者予想:中山智希

ミーナ
わざわざ両王手を拒否する35香が奇妙な味。
連鎖失敗?作者はtsumegaeruさん
★tsumegaeruさんは詰備会不参加でした。

鈴川優希
これは間接両王手っぽいのが狙いなのだろうか。22に行ける余地を作って18飛とか81飛成とかの変化を加えれば化けそうな素材だが、合作なのだとしたらまだまだ練り不足な感。というか詰備会メンバー誰だっけ、奥鳥羽生さんだったり?
★奥鳥さんも詰備会不参加でした。作者を当てたいなら参加者は調べましょう。

★最後に「遮断駒なしの状態から、あえて遮断駒が存在する状態にする」をテーマにした作品を紹介します。
■波乱万丈氏作 詰パラ1986.11
ura3_13_Tsumebikai_Hosoku01.png
35銀、同と、44馬、15玉、33馬まで5手。
★初手44馬は15玉で逃れ。また33馬は46歩!、同飛、35玉で逃れ。
 35銀、同と、としてわざわざ35に壁を作ってから44馬が面白い手順です。
★ちなみに、これはtttt7の条件にあたるようです。ttttは「Tsumeshogi Theme Tourney on Twitter」(ツイッター上での詰将棋課題コンクール)の略です。
【tttt7】
初形にバッテリーがあり、両王手をかけることができる。その着手をXとする。作意順にもXは出てくるが、両王手ではない。ただし、その間、玉は動かないものとする。9手以下。




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