予定していたことが全く進まないので、気分転換にブログを更新。決して現実逃避しているわけではありません。
2016年度のアマ連杯握り詰の使用駒が発表された。
玉角金金金銀桂香歩歩歩既に創作に取り掛かっている作家もいらっしゃることだろう。
せっかくなので今回は、理想的な握り詰について考察してみたい。
自分が考える「理想の握り詰」の条件は、
「使用駒に必然性があること」である。
具体的には、次のような作品である。
握り詰という条件を無くし、駒を自由に足したり減らしたり入れ替えたりしても良いものとする。
その場合でも「駒を足すのも減らすのも入れ替えるのも有り得ない。指定された使用駒で見事に完結している」という作品。
手を加えることにより内容がもっと良くなるのであれば、わざわざ指定された使用駒で発表する意味は無いと考える。
これを頭に入れておくと、例えば次のような作品はどうか。
(よくある創作方法)
適当な詰上りから逆算して、使用駒をうまいこと使い切りました。捨駒主体の軽快な手順に仕上がっています。
握り詰を作ろうとする場合に、最も作りやすい創作方法ではある。だが、駒を変更すれば高確率でもっと良くなるだろう。
理由は、捨駒主体という点。
使用駒を足せばもっと逆算できるだろうし、使用駒を変更して大駒を捨てる手順にすることも可能かもしれない。
たとえ「適当な詰上り」の部分が炙り出しやミニ煙であっても、同様の指摘ができる。
では、理想の握り詰の条件を満たす作品は存在しないのか?
否、である。
2013年度(使用駒:玉角金銀銀銀桂香歩歩歩歩)
3位

2015年度(使用駒:玉飛角金金金銀桂桂香香歩歩歩歩)
3位

上記2作とも、ここから手を加えようとする人は居ないであろうが、使用駒を変更することによって明らかに良くなるのであればご指摘を。
というわけで、初形曲詰にする、というのが1つの答である。
しかし、評価する側にとって一番重要なのは作意手順が充実しているかどうかであり、使用駒の必然性についてはあまり重要視されていないようだ。事実、上記2作とも3位入賞に留まっている。
また、2013年度・2015年度とも、他にも初形曲詰のエントリー作品はあったはずだが、手順が一番充実している1作のみが入賞しており、その他の作品は入賞していない。
すなわち、初形曲詰で参加する場合、他のエントリー作品にもっと良い初形曲詰があると入賞が難しくなるので、その点は覚悟しておこう。
ともかく、一流作家であれば、例年にも増して凄い作品を見せてくれることであろう。ちなみに私は一流作家ではない。
いずれにしても、手順を充実させ、なおかつ使用駒に必然性を持たせるのは非常に困難であり、それを満たすのは今まで発表された作品の中でも一握りである。握り詰だけに。
- 2016/05/03(火) 13:30:00|
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GW中は果し合い三昧の予定。
いや、某原稿も書かないといけないのだが。
小25がほとんど話題になっていなくて寂しいので、少しだけ補足させていただく。
■作品について命名を伏せて出題図を解いた場合、作者の意図はまったく分からないと思われる。
まずは、以下のことを頭に入れておいていただきたい。
・本作には命名が付いており、それは選題の言葉に書かれているとおり。ちなみに選題の言葉で「小20」は「小25」の誤り。
・本作は「クアドラプレット(四つ子)」作品であり、出題図はそのうちの a) の図を示す。
・b) c) d) は、それぞれ命名に書かれているとおりに a) を変更して得られる図である。
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一応 b) c) d) の図を載せておく。
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玉方の持駒は、a) b) c) d) とも「残り全部」である。実際にはその中身は図面ごとに異なるが、解図に影響はない。
ここまで把握できたら、b) c) d) を解かなくてもどんな内容かはだいたい想像がつくだろう。
■解答審査について解答の正解・誤無解の判定は、a) の解答のみで実施される。
これは、七條賞の対象作品数が1月号の時点で決められており、途中から対象作品を増やしたりするわけにはいかないため。選題の言葉を読まない解答者もいるだろうし。
したがって、解答の際に b) c) d) の手順を書く必要はない。しかし、28手分の手順を書けば、それがそのまま作者の意図を理解したことの証明になるので、余白があれば是非書いてみてほしい。
なお、b) c) d) の手順が合っていても、a) を間違えていると誤解扱いになってしまうのでくれぐれもご注意を。
■命名について命名は本来、作品のすぐ隣に書かれているべきである。しかし詰パラでは、レイアウト上1行に収まる文字数でないと駄目のようだ。
長過ぎる命名を付けた理由は、従来の最長命名文字数の記録更新を狙ったもの……ではなく、ちゃんとした理由がある。
理由については、またいずれ書きたいと思う。
それにしても、本作は
裏短コンに出したかった。裏短コンのコンセプトにぴったりだったのだが、盤面枚数の条件を満たしていないために泣く泣く欠場……。
- 2016/05/01(日) 20:00:00|
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