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詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

限定打に関する作図問題【解答編】

限定打に関する作図問題の結果発表です。


<解答者>
三輪勝昭、divD、奥鳥羽生、香歩花、tsumegaeru、不透明人間 の各氏。

【問題①】
図1の盤面に、適当に駒を追加し、「93角まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_01.png

★方針としては、「48角」の形では詰まないが、「48馬」の形だと詰む、というような配置を考える、ということになるだろうか。そして、それは次のどちらかとなる。
(a)44~47のどこかに飛を置く。
(b)58~98のどこかに飛を置く。
あとは余詰の発生に注意しつつ、余計な逃げ道を消し、最小駒数で表現することを考えればよい。
20160612_1_b1.png

★ちなみに、こんな図もある。
小林敏樹 『詰めてみよう 作ってみよう 2』第2問
20160612_1_b2.png
★初心者向けに、あえて紛れを排除したつくりになっている。

<上級者向け課題>
図1で、角を王手で打てる場所は8箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、93角以外の7箇所からも王手で角を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。

★<上級者向け>と後で付け加えたが、ほとんどの解答が、この条件を追加する前から元々の図の時点で満たしていた。
★というわけで、各氏の解答を見てみよう。

■三輪勝昭さんの解答
20160612_1_z1.png
三輪勝昭さん『駒効率ならこれかな。双玉なしなら18飛、29馬で。』

■香歩花さんの解答
20160612_1_z2.png

■divDさんの解答
20160612_1_z3.png

■奥鳥羽生さんの解答
20160612_1_z5.png
奥鳥羽生さん『詰方=4(4~7)飛、18飛、玉方=29角(馬)。
(左右入れ替えた場合は)詰方=2(4~7)飛、(5~9)8飛、玉方=49角。』
★たくさん答えても加点は特にありません(笑)。

■tsumegaeruさんの解答
20160612_1_z4.png

■不透明人間さんの解答
20160612_1_z6.png
★最初、小林敏樹氏作と紹介してしまってすみません。

★案外かぶらないものである。


【問題②】
図2の盤面に、適当に駒を追加し、「33飛まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_02.png

★方針としては問題①と同様、「38飛」の形では詰まないが、「38龍」の形だと詰む、というような配置を考える、ということになる。そして、それは次のどちらかとなる。
(a)16~27のどこかに角を置く。
(b)47~74のどこかに角を置く。
あとは余詰の発生に注意しつつ、余計な逃げ道を消し、最小駒数で表現することを考えればよい。
また、問題①と違い、31飛や32飛では詰まないようにしておく必要があるが、ここで少しだけ配置の工夫の余地がある。
ポイントとしては、ある1枚の守備駒を「32&29に効かせる」または「32&49に効かせる」ことで、これにより、効率良く余詰を防ぐことができる。

★というわけで、解答例はこちら。
20160612_2_b1.png
玉方76角の代わりに玉方42飛でも良い。

<上級者向け課題>
図2で、飛を王手で打てる場所は16箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、33飛以外の15箇所からも王手で飛を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。

★これは、前述の解答例の59金を46飛にすれば良い……が、実はこれと同一図の解答が2名からあり。
■香歩花さん、奥鳥羽生さんの解答
20160612_2_b2.png
奥鳥羽生さん『詰方=4(1・2・4・5・6)飛・(41龍)、74・56角、玉方=76角(馬)、28歩(香)。』
★組合せによっては余詰がありそうな……大丈夫なんでしょうか。

■divDさんの解答
20160612_2_z1.png

■tsumegaeruさんの解答
20160612_2_z2.png
tsumegaeruさん『問題②が難しかったです。』

■三輪勝昭さんの解答
20160612_2_z5.png
★47馬&65角の配置はなるほどと思った。
★上級者向け課題を同時に満たそうとすると、それなりに考慮が必要だったか。


【問題③】
問題②では、31飛および32飛の余詰を防ぐための駒が必要である。これを「以遠打防止駒」と呼ぶことにする。
図3の盤面に、適当に駒(後手玉を含む)を追加し、○○飛まで1手詰となる図を作れ。余詰は不可。
さらに、次の条件を満たすものとする。
(1)玉位置は自由。
(2)玉位置と飛打の升目はできる限り離れていること。
(3)以遠打防止駒を置いてはならない。たとえその駒が別の余詰消しを兼ねていても駄目。※条件(3)についてはあまり気にしなくて良いです。
(4)移動合ができる場合は詰みとは見なさない。【条件追加しました】
20160605_03.png

★実はこれがかなり難問だった。特に条件(2)が何マスまで可能かを推測するのが非常に困難。

■パターン1:合駒制限を用いない場合
2010.4.3. 第7回詰将棋解答選手権 初級戦① 谷口均 氏作
20160612_3_a1.png
<作意>13飛まで1手詰。
★1手詰において玉から飛をどれだけ離して打つことが可能か、については、2010年解答選手権の年鑑本の中で谷口氏自身により分析されている。その中で「合駒制限の全駒使用、玉の後方の成れる所から打つ、双玉、のいずれも不可」という条件では、2間が最大らしいという結論になっている。
★また、谷口作は盤面6枚だが、実は同様の手順が盤面5枚で実現可能である。もっともこれについては今回の趣旨とはあまり関係ないので触れないでおく。

■パターン2: 条件(4)なしの場合
★盤上に合駒制限の駒を置いた場合、こんな表現も可能である。
20160612_3_a2.png
<作意>19飛まで1手詰。
★条件(4)「移動合ができる場合は詰みとは見なさない。」を入れていなかったときにdivDさんから送られてきた解答。
 最下段で実施しているのが工夫で、合駒制限の駒配置を最小限で済ましている。
 移動合を無駄合と見なした場合は、最大の7間離した限定打が可能である。しかしこれでは当たり前過ぎて面白味がない。
 
■パターン3: 条件(4)ありの場合
★条件(4)を考慮した場合はどうなるか?
★まず、5間離した解答を挙げさせていただく。
■奥鳥羽生さんの解答
20160612_3_b1.png
<作意>28飛まで1手詰。
★王手が掛かっているので28に打つしか無く、合駒ができないためこれで詰み。

■divDさんの解答
20160612_3_b2.png
<作意>88飛まで1手詰。
★王手が掛かっているので88に打つしか無い。8段目なので桂合はできず、38~58へ歩合をするといずれも同龍で詰み。変化処理に工夫がある。

■三輪勝昭さんの解答
20160612_3_b3.png
<作意>29飛まで1手詰。
★初手28飛では24角合とされて逃れる。初手29飛として、19玉と99飛の間に2枚挟むことにより、24角合には同馬で詰み。
 連続合ができると逃れなのだが、玉方が合駒に使える駒は角1枚しか無いので29飛の時点で詰みとなる。

★しかし、実は6間離すことが可能だった!
20160612_3_s1.png
<作意>98飛まで1手詰。
★divDさんと三輪さんの構図を組み合わせた配置になっているが、このようにすることで、28玉に対して98飛と打つ手を作意に設定できる。38歩合なら同角成で詰み。
★なお、問題②の上級者向け課題と同様に、飛を打つ王手が16箇所から可能なようにしてみたが、あまり意味は無かったか。

★正解者ゼロを危惧していたが、この機構に辿り着けた解答者が2名。

■香歩花さんの解答(花駒の「飛金4銀4桂3香3歩12」は省略)
20160612_3_s2.png
<作意>98飛まで1手詰。

■tsumegaeruさんの解答(花駒の「飛金4銀4桂香4歩17」は省略)
20160612_3_s3.png
<作意>86飛まで1手詰。

★どちらも「攻方玉とそれを間接的に睨んでいる後手の駒の間に2枚目を挟む」という意味付けにより、6間離した限定打を実現している。
tsumegaeruさん『問題③は流石にこれ以上離すのは不可能だと思っているのですが……。』

★こちらで把握している限りでは、6間が最大かと思われる。



★という訳で、あまり解説になっていないような気もしますが以上です。
 解答をいただいた皆様、考えていただいた皆様、ありがとうございました!
 次回出題時は、もう少し問題を推敲してから出題します。
  1. 2016/06/12(日) 03:30:00|
  2. 考察
  3. | コメント:5

限定打に関する作図問題

油断していたら更新が1ヶ月空いてしまった。気を付けねば。
※太字部分追記しました。


限定打および限定移動の考察記事を書こうとしていたが、すでに優れた記事が存在したので構成を練り直し中。
とりあえず今回は、限定打に関する作図問題を。
【問題①】
図1の盤面に、適当に駒を追加し、「93角まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_01.png
<上級者向け課題>
図1で、角を王手で打てる場所は8箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、93角以外の7箇所からも王手で角を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。


【問題②】
図2の盤面に、適当に駒を追加し、「33飛まで1手詰」となる図を作れ。余詰は不可。
20160605_02.png
<上級者向け課題>
図2で、飛を王手で打てる場所は16箇所ある。この数を減らさないように作図せよ。
つまり、33飛以外の15箇所からも王手で飛を打てる(ただしそれらはいずれも逃れる)ようにすること。


【問題③】
問題②では、31飛および32飛の余詰を防ぐための駒が必要である。これを「以遠打防止駒」と呼ぶことにする。
図3の盤面に、適当に駒(後手玉を含む)を追加し、○○飛まで1手詰となる図を作れ。余詰は不可。
さらに、次の条件を満たすものとする。
(1)玉位置は自由。
(2)玉位置と飛打の升目はできる限り離れていること。
(3)以遠打防止駒を置いてはならない。たとえその駒が別の余詰消しを兼ねていても駄目。※条件(3)についてはあまり気にしなくて良いです。
(4)移動合ができる場合は詰みとは見なさない。【条件追加しました】
20160605_03.png

解答募集するほどのものでもありませんが、一応ツイート(DM)またはコメント欄(承認制にしています)にて受け付けます。
1週間後くらいに結果発表。

現時点で解答は3名。問題③で満点となる解答はまだ0です。
いずれの解答も、条件(2)が、こちらで用意している模範解答の距離に達していません。

解答締切は、
6/11(土)22:00
とさせていただきます。

締め切りました。
解答者は少し増えて5名。問題③の正解者
は2名!


ちなみに①の模範解答は3枚追加、②の模範解答は4枚追加。上級者向け課題も、この枚数のままで実現可能。
③についてはいろいろと話題になっている? ←これは双玉も合駒制限も用いない場合の作例。では、何でもありとした場合はどうなるか? 案外難しいかも。
  1. 2016/06/05(日) 02:30:00|
  2. 考察
  3. | コメント:8

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