詰将棋パラダイス2016年5月号 小25【補足】図面は改良図に差し替え
「かえるのうたが b)44桂→56金 c)53銀→56金 d)77龍→56金」.png)
| 56香、同桂、44銀、同銀、73角、同龍、67桂迄7手。 |
.png) | 44銀、同銀、73角、同龍、67桂、同金、56香迄7手。 |
.png) | 73角、同龍、67桂、同金、56香、同桂、44銀迄7手。 |
.png) | 67桂、同金、56香、同桂、44銀、同銀、73角迄7手。 |
史上初の7手詰の四つ子作品。狙いは4つの図と手順を並べてみれば一目瞭然だが、一応書いておくと、
A=56香、A'=56同桂
B=44銀、B'=44同銀
C=73角、C'=73同龍
D=67桂、D'=67同金
としたとき、
a) AA' BB' CC' D まで。(ABCの順に捨ててDで詰める)
b) BB' CC' DD' A まで。(BCDの順に捨ててAで詰める)
c) CC' DD' AA' B まで。(CDAの順に捨ててBで詰める)
d) DD' AA' BB' C まで。(DABの順に捨ててCで詰める)
となっており、4つの図を合わせて輪唱を表現している。
評点が低いのは、a) のみでABC評価をした解答者が多かったため。
中には、a)~d)をすべて解いているのに評価はa)のみで付けた、という方も。
選題の言葉で「a)の解答で採点」とあったのは、解答審査(正解・誤解・無解の判定)のことだったのだが、
「ABC評価をa)のみで実施せよ」という意味に解釈されてしまったとすれば残念である。
ちなみに、a)~d)すべてまとめて1つの作品であり、28手すべての手順が作意である(これは本作に限らず、すべてのツイン作品に共通した考え方)。
手順は特に解説することは無いので、命名について書く。
本作の命名は、前半部分「かえるのうたが」と、後半部分「b)44桂→56金 c)53銀→56金 d)77龍→56金」から成る。
■命名について(後半部分)後半部分は、チェスプロブレムにおける“stipulation”(出題図の条件)にあたるものである。
(従来の命名)+(stipulation)を合わせて1つの命名としたのは、本作が史上初である。
これは、後々引用しやすいようにしたためであるが、ツインについての理解が得られていない現状ではあまり意味が無いか。
ちなみに、stipulationのみを命名にした前例が存在するので紹介させていただく。
◇山田康平氏作 詰パラ1997.12 短コン 「b)44桂→33」
ツインとしての完成度はかなり高い。しかしこれを短コンに出すとは今考えても前衛的過ぎる。なお、出題時に「本作はツインであり、b)も解いたうえで、a)b)を合わせて1作として評価せよ」などという注釈は一切書かれていなかった。
■命名について(前半部分)前半部分「かえるのうたが」についても説明する。
これは言うまでもなく、童謡『かえるの合唱』の歌詞の一部であるが、「五線譜に書かれた歌詞の一部」という位置づけ。したがって、すべて平仮名にしている。
そして、ここに込められた意味は以下のとおり。
【1】 4グループによる輪唱を表している。
【2】 あえて「・・・・が」という、本来であれば後ろに言葉を続けるべき箇所で切ることにより、解き手が無意識のうちに続きを補完してしまうという効果を狙っている。さらに、「図面についても出題図だけではなく、b)c)d)を補完する必要がある」ということを暗に意味している。
ここで、【1】について、もう少し詳しく説明しよう。
『かえるの合唱』の五線譜を、2小節ずつ区切ったものを、前から順にA、B、C、Dとする。下記参照。
そして、4つのグループ a)~d)が、次のようにして輪唱することを想定する。
(1)各グループは、A~Dまでを2回繰り返して歌うものとする。
(2)最初にグループd) が歌い始める。
(3)2小節遅れてグループc) が歌い始める。
(4)さらに2小節遅れてグループb) が歌い始める。
(5)さらに2小節遅れてグループa) が歌い始める。
これを時系列で表すと、下表のようになる。
グループ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
---|
a) | | | | A | B | C | D | A | B | C | D |
---|
b) | | | A | B | C | D | A | B | C | D | |
---|
c) | | A | B | C | D | A | B | C | D | | |
---|
d) | A | B | C | D | A | B | C | D | | | |
---|
この表において、色を付けた部分を表現しているのである。
解答時にここまで汲み取れた方はまずいないだろうが、「輪唱」というところがそれなりに伝わっているようなので良しとしよう。
- 2016/08/22(月) 00:30:00|
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