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詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

1手詰の不成を実現可能な駒種(4)【解答編】

締切ギリギリになってからの駆け込み解答もあるかと思っていたが、PRが足りなかったか、人徳が足りなかったか。


解答を寄せていただいたのは馬屋原さん1名のみ。
しかしこれが完璧な内容だった。これを見るだけでも価値がある。

■問題1
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、飛不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 飛の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。
20161230_02.png
37飛不成まで1手詰

説明しやすいように、初手を指した局面の参考図を使うことにしよう。
20161230_01.png
条件から、
 ・後手が王手を防ぐ着手は、歩打による合駒のみ。
 ・歩を打たれたとき、先手の手が存在しない。
となっている必要があり、そのためには、先手が1手指したときに、
 1)玉方の玉に王手をかけている飛(37飛)
 2) 1)をピンしている縛り駒(26角)
 3) 2)をピンしている縛り駒(44角)
 4) 3)をピンしている縛り駒(43香)
が必要。あとは、詰方の玉が移動できないようにすれば良い。

しかし、解答はこれを上回るものだった!
20161230_03.png
23飛不成まで1手詰
実際に示されてみれば当たり前で、構図を90°回転させると7マス移動が可能だった。
これに思い至らないとは痛恨。

■問題2
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、角不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 角の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。
20161230_04.png
37角不成まで1手詰
考え方としては同様。しかし、28香・18飛の配置に気付けるかどうかがポイントか。

20161230_05.png
38角不成まで1手詰
1段下げた構図。よく似ているが、初形で28に玉方の効きが無くてもよいというのは気が付かなかった。
角は6マス移動が最大。

■問題3
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、香不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 香の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件1のみだと5マス移動。条件2を満たしつつだと1マス移動。

まずは(条件1)から。
20161230_06.png
22香不成まで1手詰
20161230_07.png
22香不成まで1手詰

問題2と同様の構図が使える。しかし移動した香を行きどころのない駒にするために、1・2段目の配置が必要。
しかし構図から成駒の置き方まで、ここまで一緒になるとは思わなかった(19の駒の置き方が違うだけ)。
こちらでも問題2と同様に、初形で28に玉方の効きは不要だ。
香は5マス移動が最大。

(追記)
馬屋原さんの解答は盤面25枚・成駒3枚。しかし、盤面23枚・成駒なしで実現できた!
20161230_12.png
82香不成まで1手詰
42角・51銀の配置がうまく、これにより行きどころのない駒を配置するのが5~9筋だけでよい。
この構図は気が付かなかった。

続いて(条件2)。
20161230_08.png
42香不成まで1手詰

20161230_09.png
42香不成まで1手詰

「盤面22枚以内」「成駒を置かない」という条件を満たそうとすると、構図に工夫が必要。こちらも相当に似ている。
この条件下では1マスが限界か。
ちなみに歩不成は、43香を歩にして香を12あたりに置けば実現可能。

馬屋原―面白そうでしたので挑戦してみました。よろしくお願いいたします。

解答ありがとうございました。1人だけでも「面白そう」と思っていただけたのであれば、記事を書いて良かったと思います。
もう少し解答が多ければ、各自の構図の違いについて比較もできたと思いますが。



今年の記事はこれが最後。
皆様良いお年を。

  1. 2016/12/30(金) 15:00:00|
  2. 考察
  3. | コメント:0

1手詰の不成を実現可能な駒種(3)【出題編】

というわけで、やっと出題編。

詰将棋で1手詰の不成ができるのは「銀」「桂」のみ、という結論だった。
しかし、特別なルールを導入することで、飛角香歩の不成も実現できる。
そのルールとは「打歩ステイルメイトを禁手とする」というもの。
つまり、使用駒を双玉とし、王手を掛けたときに歩を打つしか応手が無く、その局面で攻方がステイルメイトになってしまう、
という状況を構築する。

これを踏まえて、次の局面創作問題に取り組んでみていただきたい。

■問題1
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、飛不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 飛の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。

■問題2
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、角不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 角の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件2を満たしつつ6マス移動。

■問題3
打歩ステイルメイトを禁手とした場合に、香不成までの1手詰となる局面を作れ。
ただし、次の条件のどちらかを満たすこと。
(条件1) 香の移動距離はできるだけ大きくすること。
(条件2) 盤上の駒数は22枚以内とし、成駒は配置しない。
【補足】こちらで用意している解答例は、条件1のみだと5マス移動。条件2を満たしつつだと1マス移動。

(歩不成は香不成の配置を少し変更してすぐできるので省略)

解答はコメント欄もしくはDMで。
なお、解答締切は 12/29(木) 21:00 とさせていただきます。
なお、解答が皆無の場合は有耶無耶になります。

解答受付終了しました。解答者は何と……1名!

  1. 2016/12/18(日) 03:00:00|
  2. 考察
  3. | コメント:2

1手詰の不成を実現可能な駒種(2)

裏短コン、作者予想を外しまくり。まだまだ修行が足りないってことで。
ちなみに、ほっと作も誰も当てられなかったようだ。


ということで、前回の記事の解答。

<選択肢>
飛 角 銀 桂 香 歩

■ウォーミングアップ問題1
特定の局面を作ったとき、条件1を満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。

▽正解
飛 角 銀 桂 香 歩

条件を注意して読むと、余詰の有無は考慮しなくて良いことがわかる。
「成って詰んでも良い」というわけで、作例としてこんな図を挙げておく。
(ほっと 作)
20161218_1.png
飛角銀桂香歩の不成と成に、金の着手を加えて1手詰が13種類ある、というもの。また、あまり意味がないが盤面七対子。

なお、元ネタはこれ
この記事によると、攻方玉の着手も加えた14種類も可能らしいが・・・・・・。


■ウォーミングアップ問題2
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。
(条件2) 攻方の他の着手(ある駒を成る着手も含む)では、手数を掛けても詰まない。

▽正解
銀 桂 香

成って詰んではいけない、ということで、飛角歩は自動的に除外される。
さらに、条件を注意して読むと、「駒が余っても良い」ということがわかる。
どう違うのか、というと、実は香不成も可能になる。
20161218_2.png

問題1と問題2に関しては、「条件を満たす1手詰の詰将棋を作れ」と考えてしまうと正解できない、やや意地悪な問題だった。


■ウォーミングアップ問題3
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでおり、このとき攻方に持駒が残っていない。
(条件2) 攻方の他の着手では、手数を掛けても詰まない。

▽正解
銀 桂

これは「条件を満たす1手詰の詰将棋を作れ」と考えて良い。
問題2から香を除外した2種類が正解。

桂に関して、条件を満たす図を挙げておく。
20161218_3.png
「成ると王手にならない図」では当たり前すぎる?
しょうがないなあ、「成っても王手だが不成でないと詰まない図」も挙げておこうか。
20161218_4.png

20161218_5.png

銀についても同様に作成できるため、省略する。
というわけで、詰将棋として最終手に不成限定が成立するのは、銀・桂のみということになる。

さて、ここまでを踏まえて、本題はこの後なのである。
(次の記事に続く)
  1. 2016/12/18(日) 02:00:00|
  2. 考察
  3. | コメント:0

1手詰の不成を実現可能な駒種(1)

2ヶ月放ったらかしにしていたブログをようやく更新。
やるべきことが残っているというのに。


1手詰創作問題の第2弾を出題しようと思うが、その前にウォーミングアップ問題。
なお、前提条件として、ルールは普通詰将棋のものに準ずるものとし、使用駒は「単玉の場合39枚以内」もしくは「双玉の場合40枚以内」のどちらかを選択できるものとする。

<選択肢>
飛 角 銀 桂 香 歩

■ウォーミングアップ問題1
特定の局面を作ったとき、条件1を満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。

■ウォーミングアップ問題2
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでいる。
(条件2) 攻方の他の着手(ある駒を成る着手も含む)では、手数を掛けても詰まない。

■ウォーミングアップ問題3
特定の局面を作ったとき、条件1と条件2を両方とも満たすことのできる駒を選択肢からすべて選べ。なお、透かし詰も可とする。
(条件1) ある駒の不成の着手までで詰んでおり、このとき攻方に持駒が残っていない。
(条件2) 攻方の他の着手では、手数を掛けても詰まない。

これらは出題ではないので、コメント欄への回答などは不要だが、各自考えてみていただきたい。
正解は、某裏短コン結果発表のニコ生が終わった頃に出す予定。
  1. 2016/12/17(土) 20:00:00|
  2. 考察
  3. | コメント:0

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詰将棋作家/詰パラ大学院担当/看寿賞選考委員。

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