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詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

詰パラ2017年3月号感想

チャンピオン戦、ようやく納得の結果を出せました。



さて、詰パラ3月号の感想。

■詰棋校出題、作品展出題
解いてみて、あるいは初形・タイトルだけで「ああ、いかにも○○氏の作だ」と感じられる作が多いような気がする(と言っても作者名を伏せられたら殆ど当てられないだろうが)。

■結果稿
[短コン]
・15、形式的な美しさはNo.1。「初手と5手目の桂打ちが同じ地点」の作は私も発表しているが、行きと帰りで別の地点というパターンも考えていた(で、うまくいかず諦めて同一地点にした)。この構図は見事。
・25、一番好みだったので順位対象外となったのは残念。
 しかし「よく似た先行作がある」ということで順位対象外になるのであれば、順位対象外となる作は多数あるような…。
・好作が多かった一方で、盤面枚数や手数の条件に甘えた作(要するに、無理矢理9手にしたり無理矢理10枚に収めたりした作)もあったのは仕方ないことなのだろうか。

[同人室]
課題は初形81玉。作るだけなら簡単だが、81玉でなければならない必然性があるかどうか、を考えると途端に創作難易度が高くなる。
(判定その1) 左右反転すると意味が通らなくなる場合、プラス1点。(左右反転しても何ら変わりない場合は加点なし。むしろ右配置の方が自然な場合はマイナス1点)
(判定その2) 逆算が過不足なく、明らかに81玉からスタートさせる意味がある場合、プラス1点。(可もなし不可もなしの場合は加点なし。明らかに強引で無意味な逆算を施している場合はマイナス1点)
10作中、プラスになる作は残念ながら1作も無さそう。まあ課題が良くないということで、来期からに期待しよう。

[若島氏同人記念]
解説が読み物としても面白い。

[創棋会作品展]
いかにも「何か狙っています」と言っているような配置からの、期待以上の手順。若いっていいなあ(遠い目をしつつ)。

■第3回 ほっとのイチ押し!
<コンセプト>詰パラのその月の出題作の中で「これは是非解くべき」と感じた作を1作選ぶというもの。
解答競争の関係もあり、原則として詰棋校の出題作は対象としない。また、放っておいても高評価になるであろう作や、難解過ぎる作も対象としない。

第3回のイチ押し作品は、デパートの5作全部…と言いたいところだが、あえて選ぶならこれ。
◇デパート④ 岡 圭吾氏作
「1枚の攻駒に対して」「連続で」行うのは史上初。荒削りではあるが、凄いことをやっている。
作者はフェアリー界でかなり前からペンネームで活躍中の方のようだ。今後も注目したい。



  1. 2017/03/28(火) 00:01:00|
  2. 詰パラ感想
  3. | コメント:0

詰将棋解答選手権の傾向と戦略2017

チャンピオン戦の主要出場者に関する記事を待っていたが、アップされないまま当日になってしまった。

さて、本日3/26(日)は第14回解答選手権チャンピオン戦が開催される。
ちなみに藤井四段は東京会場に出場予定とのこと。関東圏の方はぜひ現場でそのスピードを体感してみてほしい。



さて、解答選手権の傾向と、戦略を改めて書いておこう。
あまり昨年と変わっていないが、昨年の出題作についても追記している。
なお、どちらかと言えば上級者向けなので注意。

第1R、第2Rとも39手以内の作品が5作出題される。第1Rの作品が①②③④⑤、第2Rの作品が⑥⑦⑧⑨⑩となる。

■出題作の傾向
まずは過去の出題作の傾向から。

1. 短手数の出題作は、最終3手(もしくは最終5手)に大駒捨てあり!
 比較的短手数の出題作(①②③および⑥⑦⑧)に関しては、最終3手に大駒捨てが入っていることが多い。

 2016年[第1R][第2R]に関しては、①②③⑧が該当。

 2015年[第1R][第2R]に関しては、①②③⑧が該当し、さらに言うと、これに該当しない⑥⑦についても、最終5手で大駒を捨てている。

 2014年[第1R]に関しては、対象6作のうち①②④⑥が該当し、該当しない2作のうち③についても、最終5手で大駒を捨てている。
ちなみに理由については、「作者がそうなるように手順を構成している」「選題者(解説者)の好みが反映されている」といったところか。
いずれにしても、詰む手順を見つけた際に、作意っぽいかそうでないかの判断材料として活用できる。

2. 合駒に注意!
 短編に限らず、合駒が出てくる作品が多い。特に注意すべきは移動合と不利合。移動合については成・不成にも注意したい。

 2016年[第1R][第2R]に関しては、②③⑤⑥⑧⑨⑩が該当。

 2015年[第1R][第2R]に関しては、③⑤⑧⑨⑩が該当。

 2014年[第1R][第2R]に関しては、①③④⑤⑧⑨⑩が該当する。

 合駒問題は苦手な人も多いだろうが、作例をたくさん見て慣れておくしかないだろう。
 ちなみに、「出現した合駒が動かず取られずに残ったままになる」ことはほぼ無いことも併せて指摘しておく。

3. 最終2手以外での非限定はほぼ無い!
 非限定としては、次に示すようなものがある。
 a)飛角香の打ち場所非限定
 b)合駒の種類や打ち場所非限定
 c)成・不成非限定
 これらはまず出題されないと考えてOK。何故ならそのような作品を出題すると採点が面倒になる……だけでなく、そもそも欠陥作品を出題すること自体が解答者に余計な負担を強いることになるから。
 したがって、詰み手順中、合駒が限定されていなかったりした場合は、その手順は間違いである可能性が極めて高い。
 最終2手での非限定はそこそこ見かけるので注意。

■戦略
ある程度傾向を掴んだところで、まずは第1Rの①②③④⑤を90分間で解答する上での戦略を書いておこう。
なお、戦略は第2Rでもほぼ同様であるが、第2Rは昼食後なので眠気との戦いでもある。集中力が続くかどうかが重要かもしれない。

1. 解くのは暗算と盤駒使用を併用で!
 具体的には、こんな感じ。
  ・どの作品もまずは暗算で考えてみて、難しそうなら別の作品を暗算で考える。
  ・盤駒使用は最終手段とし、使用する場合でも、なるべく易しそうなものから優先的に並べる。
 ここで重要なことは、「とりあえず盤に並べてから考える」という解き方は避けるべき、ということ。
 というのは、一度盤に並べてしまうと、それがなかなか解けないときでも「せっかく並べた盤面を崩すのが勿体無い」という心理が働き、「一旦保留して別の問題を解こう」と決断しにくくなるため。
 ちなみに、盤駒を2セット以上使用する策もある。会場で用意してもらえるのは1セットのみなので、自分で用意する必要があるが、どれほど効果があるかは不明。
 いずれにしても、棋士・奨励会員には適用できない作戦である。
 (なお、ルール上は、上記にあたる出場者でも盤駒使用は禁止されていない。ただし、実際に使用している人は見たことがない)

2. 部分点をたくさん獲得するよりも、完答数を増やせ!
 ルール上は、4手正解毎に部分点1点もらえる。ただし、部分点と言っても、ほぼ1~3点である。これに対し、完答すると10点になる。
 例えば①②を完答したとして、「③④⑤すべてで部分点3点(合計9点)」というパターンよりも、「③のみ完答、④⑤は手付かず」の方が点数が高くなる。

3. 変化紛れはきちんと確認せよ!
 作意らしき手順を見つけたら変化紛れはもう調べない、という解き方もあるのだが、それだと2手延びる応手を見落としてしまう可能性が極めて高い。特に、昨年から手数が明確に想定できなくなったため、面倒でもきちんと確認すべき。
上で述べたように、見落としによって部分点になってしまうと痛い。
 また、確認作業については、解答欄に記入する前に実施すべき。記入してしまうと、どうしてもその手順が正しいという思い込みや願望が強くなってしまう。

4. 並びは手数順、同手数の場合は「使用駒数が少ない」「盤面配置面積が小さい」ものが手前!
 同じ手数の作が同時に出題されることはあまりないので、その時点で間違えている可能性も高くなる。
 同手数になったら、使用駒数を確認しよう。
 例えば、もし③と④が同手数になり、④の方が使用駒数が少なく盤面配置面積も小さいとしたらどうか。
 もし解答が正しいとすれば、④が手前にならなければおかしい。すなわち、間違えているということだ。

5. 状況によって目標を下方修正せよ!
 90分間で、どのような時間配分で解けば良いか?
 まずは、比較的短手数である①②③までは完答を目指したい。

 a) 優勝を目指す場合 
 ①②③を15分以内(それぞれ3・5・7分)。④⑤が残っている状態で残り75分。あとは④⑤を解いた時点でどれだけ時間を余せるか。
 ちなみに2016年は①~⑤までで20分! 上記は「優勝を目指すための最低ライン」と考えてほしい。

 b) 5問正解を目指す場合
 ①②③を30分以内(それぞれ5・10・15分)。④⑤が残っている状態で残り60分。
 これ以上時間がかかってしまうと、5問正解は厳しいと思われるので、適宜目標を下方修正しよう。

 c) 4問正解を目指す場合
 ①②③を45分以内(それぞれ10・15・20分)。④⑤が残っている状態で45分。
 この状態から④⑤を両方とも解き切るのは厳しいが、どちらか1問だけであれば何とかなると思われる。
 どちらが解きやすいかを見極めて、そちらに全力を注ごう。
 
 d) 3問正解を目指す場合
 45分経過した時点で、①②③まで解けていない場合。残り45分。
 ④⑤をどうするか、3分以内に決断しよう。それぞれ1~2分眺めてみて(盤に並べては駄目)、筋が見えない場合は潔く捨てて、
 残り時間は①②③のうち解けていない作に投入する。とにかく30点確保を目指そう。
 短手数であっても盲点に嵌るといくら時間を掛けても解けないし、例外的に④や⑤が解きやすいことも有り得るので、判断は難しいのだが。

個人的には、出題作が易しい&最高に勘が冴えていれば b)。しかしその場合、早い人はもっと先を行っていることだろう。
現実的には c) のパターンか。 d) も普通に有り得る。

いずれにしても昨年は、大筋で正解近くまで辿り着いていながら見直し不足による不正解が3問もあったため、これを無くせば結果は付いてくると思われる(昨年と同じことを書いている)。上位入賞できるように頑張ります。



  1. 2017/03/26(日) 08:00:00|
  2. 詰将棋解答選手権
  3. | コメント:2

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Author:ほっと
詰将棋作家/詰パラ大学院担当/看寿賞選考委員。

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