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詰将棋考察ノート

詰将棋に関する考察あれこれ。

詰パラ2020年3月号感想

月末は予定が無くなったにもかかわらず、やるべきことが進まない。


気を取り直して、詰パラ3月号の感想です。

■表紙
表紙で小駒図は久しぶり。大駒を使えばもっと色々できそうだが、これはこれで。

■詰将棋学校
どこも難しくて解答選手権対策はこれでバッチリ、のはずだったのに。
イベントや外出が自粛に→みんなが家で詰パラを解く→解答が増える、なんてことになったら嬉しいが。
それから、院5の作者は第一志望校に見事合格! お祝いの言葉を添えて解答を!

■全詰連の頁
看寿賞は毎年一般推薦が少ないが、さて今年は?
初級戦・一般戦は現時点で半数以上が中止に。

■詰将棋の眺め方
安達康二氏の7手詰5作品と、その影響を受けているであろう作品群。
特に、大駒の2通りのラインを利用した1図~4図のパターンは、今でこそよく見かける筋だが、当時は衝撃的だったに違いない。
短編における伏線や創作方法についても現代的だ。

■持駒のある風景
「岳麓」の作者の名前を間違えているのはいただけない。

■ちえのわ雑文集
第5回裏短コン、お疲れ様でした・・・と書く予定だったが、解説が全然終わっていない!
3月中には全作の解説を終わらせてほしいと伝えておいたんだけどなあ。
くぼの詰将棋 [第5回裏短コン]

■結果稿
【短コン】
優勝作は予想どおり。9手50作は解くのも解説を書くのも大変。
あ、無事シード権確保しました。

【同人室】
「作風が滲み出る作品」。全体としてはなかなか良かった。

【やさしい大学院】
まずまず好評だった。多分6月も開催します。

【創棋会作品展】 【kisy一族オフ会作品展】
どれも意欲的な内容で面白かった。

【透明駒10周年記念創作コンクール作品展】
バラエティに富んだ作が集まり、良い企画だった。
強いて難点を挙げると、解説があまりにも上級者向けなところ。

■ほっとのイチ押し!
<コンセプト>詰パラのその月の出題作の中で「これは是非解くべき」と感じた作を1作選ぶというもの。
解答競争の関係もあり、原則として詰棋校の出題作は対象としない。また、放っておいても高評価になるであろう作や、難解過ぎる作も対象としない。
今月はこの作。
◇デパート①久保紀貴氏作
裏短コンに出品されるはずだった作、かな。



  1. 2020/03/30(月) 01:00:00|
  2. 詰パラ感想
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詰パラ2019.12 透明駒10周年記念創作コンクール作品展⑩

久しぶりの発表作解説。ただしフェアリー。


20200317_1.png
協力詰5手、ただし透明駒が先手2枚、後手3枚もある。
後手玉が盤上に存在しない、ということは、後手の透明駒3枚のうち1枚が玉ということになる。

【作意手順】
X、49X、18X、38龍、59飛まで5手。


まずは、これで詰んでいることを証明しよう。
(1)初手「X」
これは透明駒を動かした(もしくは駒台から透明駒を打った)着手であることしかわからない。

(2)2手目「49X」
49の銀が後手の透明駒で取られた。実はこれにより、今動いた透明駒は後手玉であることが判明する。
さらに言えば、後手玉は初形において59に居たことになる。

(3)3手目「18X」
透明駒で18飛を取りながら王手をした。先ほど後手玉が49に居ることが判明しているため、先手の透明駒は「16角(馬)&27銀」あるいは「16角(馬)&27王」の形である。
では「16角&27銀」の形だと仮定してみよう。
20200317_2.png
しかし、この形では、初手から「X、49玉」という手順を再現するのは不可能なのだ! 「16馬&27銀」でもやはり不可能。
ならば残るはもう一方の形だ。すなわち、「16角(馬)&27王」の形である。これであれば、初形37王の形から「X(=27王)」、「49X(=玉)」というやりとりが可能だ。つまり初形は次図のようになっていたことになる。
20200317_3.png

いやちょっと待て。透明駒を使った作品の前提条件の一つに「出題図は合法な局面である」というものがある。初形で37王なんて配置は不可能局面ではないのか?
確かにこのままでは香と龍で上下から同時に王手がかかっており、こんな局面は不可能だ。
しかし、「出題図は合法な局面でなければならない」のだ。逆に言うと、合法になるように透明駒が配置されている必要がある。
このことから透明駒が1枚確定する。すなわち、後手の透明駒のうち1枚が「36桂」であれば合法な局面となる。 
20200317_4.png
先手王に王手はかかっているが、初手で逃げつつ王手しているため、何も問題はない。
ここまで把握できれば、後はもう少しだ。

(4)4手目38龍、5手目59飛
1~3手目により、先手の王が18に居ることが判っている。そして38龍に対し平然と59飛と打っている。
これが合法手であることから、28には後手の透明駒が居る(28歩or28香)。
仮に28歩だとすると、次のような局面である。
20200317_5.png
これで透明駒は先後とも全て判明(厳密には先手の16角は馬の可能性もあり、後手28歩は香の可能性もあるが)。確かに詰んでいることが証明できた。

【狙い】
先手王を透明にしてみたらどうなるか、と考えてみたのがきっかけ。
王であることを証明するには、「横に動かす」「斜め後ろに動かす」「龍・馬を否定」くらいで可能。
作っていく過程で「後手玉も透明にできそうだ」「16角も透明にしよう」などとやっているうちに、気付いたらこんなことに。
難解過ぎて正解者が少なかったのは残念だが、若島氏に最優秀作に選んでいただいたので、これを最終図とした判断は正しかった、と思いたい。

【余詰の有無について】
後手の透明駒のうち1枚でも所在不明の場合、たいていは受けが効くため、詰んでいることが証明できない。
そして、先手王を使わずに後手の透明駒を確定させるのはこれまた困難であることから、余詰に関しては多分大丈夫だろう、と考えている。



  1. 2020/03/17(火) 23:55:00|
  2. 発表作
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詰将棋作家/詰パラ大学院担当/看寿賞選考委員。

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